名古屋大学未来材料・システム研究所の天野浩教授らと旭化成は、深紫外の波長域で半導体レーザーの室温連続発振に世界で初めて成功した。発振波長は274ナノメートル(ナノは10億分の1)。結晶の乱れ(欠陥)が発生しない半導体レーザー素子を作製し、駆動電力を従来の10分の1に低減した。省エネ、ポータブルなデバイスの実現に道筋をつけた。医療、計測・解析、微細加工などに用途展開を目指して製品化を進め、旭化成は2027年頃にも事業化を目指す。

19年に成功した深紫外半導体レーザーの室温パルス発振の研究を発展させた。パルス発振で連続駆動する際の課題になっていた発熱を抑えるため、動作に必要な電流、電圧の低減に取り組んだ。

レーザーの特性が劣化する要因として、半導体レーザー素子を形成する結晶欠陥に着目。半導体多層膜構造に彫り込んだメサストライプという形状への剪断応力の集中が欠陥の発生原因と分かった。

メサストライプの構造を改良し、結晶欠陥を抑制したところ、動作に必要な閾値電流が125ミリアンペア、同電圧が8・7ボルトに改善。駆動電力の大幅低減により電池駆動でのレーザー発振を可能とした。

医療や殺菌などのヘルスケア、ウイルス検知などの計測・分析のほか、銀を含む金属や炭素、樹脂などへの高精細なレーザー加工に展開を見込む。製品化に向け、名大のエネルギー変換エレクトロニクス実験施設(C―TEFs)で試作に取り組む。旭化成はまず計測・分析分野から事業化に乗り出す考え。


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