三井物産は日本式カレーでインドの消費者事業を強化する。10月に壱番屋との共同出資会社が首都であるデリーに2号店を出店したほか、カレーに続く、日本式洋食の商品開発にも着手。直営店で、「カレーハウスCoCo壱番屋」(ココイチ)ブランドを確立し、同国全土にフランチャイズ(FC)展開する。これを基盤に同国で成長が期待できる消費者事業を本格的に立ち上げる。(編集委員・中沖泰雄)

「いらっしゃいませ」。客が来店するたびに店員の元気な声が響き渡る。壱番屋の社是である「ニコニコ・キビキビ・ハキハキ」(ニコキビハキ)が実践される。カレー発祥の地といわれるインドで提供するのは同社の日本式カレーだ。

同社にとって日本式カレーによる同国への進出は長年の念願だった。三井物産の狙いは内需主導の経済成長と中間所得者層の拡大が見こめる同国での消費者事業の展開。特に消費者と直接的な接点が持てる外食事業は魅力的だ。

2019年に両社は共同出資会社を設立。出資比率は三井物産が60%、壱番屋が40%で、三井物産が経営をリードし、同国で消費者事業の基盤構築を進める。

1号店は20年8月にデリー郊外に開業。コロナ禍でロックダウン(都市封鎖)政策がとられ、環境は厳しかったが、新型コロナ感染症拡大が落ち着く中、「客数は確実に増えている」(インド三井物産ニューデリー本店の野村保流通事業部長)。

その中で新商品開発も進んでおりカレーを中心に「親しみやすく、毎日食べても飽きない日本式の洋食を提供する」(野村部長)。

デジタル先進国の同国で参加交流型サイト(SNS)マーケティングも展開しているが、「一番強力なのは口コミだ」(同)。ニコキビハキの徹底などで来店客に「おいしい、楽しいと思ってもらえる店づくりを目指す」(同)。

壱番屋が蓄積してきた海外での外食事業の展開・運営ノウハウを活用して事業の拡大が進む。三井物産はアジアや米国、英国で実績があるノウハウを吸収できる。壱番屋にとってもインドで長年にわたり、ビジネスを展開する三井物産と組むことで、法制度の順守やパートナーの獲得などでメリットがある。

野村部長は「チャンスがあれば三井物産として他の消費者にも生かしていきたい」と展望を描く。カレーハウス運営事業が軌道に乗れば消費者事業の多くの可能性が見えてくる。