ゼネコン各社が技術を持ち寄り、一体となって進める“協調領域”の開発が活発だ。象徴的な存在が、施工ロボットやIoT(モノのインターネット)を使った施工支援ツールの技術開発に取り組む「建設RXコンソーシアム」(伊藤仁会長=鹿島専務執行役員)だ。11月には大林組と高松建設が加わり、ゼネコン31社と建機や設備工事、通信など101社が集まる一大勢力となった。(堀田創平)

大林組が参画し、ゼネコンでは鹿島、清水建設、竹中工務店とあわせた大手4社に長谷工コーポレーションなど準大手10社、さらに鴻池組など中堅9社が出そろった。大林組は「当社の独自技術を展開したり、他社の技術を試したりできる利点は大きい」と捉える。かつては、ややインパクトに欠ける組織との声も聞かれたコンソーシアムの存在感は一転、一気に高まった。

注目されるのがゼネコン大手の一角をなす大成建設の動き。「ぜひ一緒にやっていきたい」と参加を望む声はあるが、大成建設の相川善郎社長は「現時点で参画は考えていない」と明かす。ゼネコンと関連業界でつくるコンソーシアムに対し「当社と異業種の知恵や知見を組み合わせてこそ、イノベーションの素地ができる」との考えがあるためだ。

コンソーシアムは2021年9月にゼネコン16社で発足した。鹿島と竹中工務店による技術連携に、清水建設が参画した枠組みが前身だ。掲げる目標は、各社が同じようなロボットやアプリケーションをそれぞれ開発するという効率の悪さと、コスト負担の低減。協力会社(下請け)に対しても、元請けごとに異なるロボットやアプリを習得する無駄を省く効果を見込む。

足元では10テーマで分科会を設け、資材の自動搬送システムやタワークレーンの遠隔操作、人工知能(AI)を活用した廃棄物の分別処理や墨出し・照度測定ロボットなどの開発に挑む。すでに実際の建設現場に導入し、会員間の相互利用にこぎ着けたものもある。いずれも技術者・技能労働者の人手不足や働き方改革といった、建設現場の課題解消を後押しする成果だ。

その好例の一つが、建築の3次元(3D)モデリング技術「BIM」を活用した資材の自動搬送システムだ。BIMの情報から作成した搬送計画を基に、必要な時に必要な場所に、必要な資機材をロボットや自動搬送台車(AGV)が運ぶ仕組みを構築した。搬送実績も記録されるため、工程管理の負担が低減する。あらゆるAGVやロボットに導入できる汎用性も特徴だ。

タワークレーンの遠隔操作システム「タワリモ」も、建設現場で歓迎されている成果の一つだ。現場事務所や遠隔地から操作できるため、オペレーターはクレーン頂部の運転席までの昇降や、運転席で長時間拘束される負担を軽減できる。“運転席”を1拠点に集約することで、熟練のオペレーター1人が複数の若手を指導・監督するといった使い方も見えてくる。

ゼネコンの技術開発には、差別化する競争領域と協働する協調領域がある。協調領域の開発では業界を横断した活用が課題解決や一段の技術開発につながることを考えると、より多くの企業の参加がカギになる。