携帯通信機能を備えた飛行ロボット(ドローン)活用への期待が高まっている。5日にドローンの有人地帯における目視外飛行(レベル4)が解禁されることを受け、通信を使ってドローンを常時管理したい需要が拡大する公算が大きい。一方、ドローンの安全運航に向け、信頼性の高い通信の確保といった課題も多い。大手携帯通信各社はそうしたハードルを乗り越えつつ、新たな需要に対応できるかが問われる。(張谷京子)

「あるドローンメーカーの機体のうち、携帯通信に対応しているものは6%。現在普及するドローンは携帯通信機能を備えていないものが圧倒的に多い」。業界関係者はこう明かす。ドローンの飛行は現在、機体を目視できる範囲か、河川や山間部などの無人地帯に限られる。これまでは、近距離無線通信のWi―Fi(ワイファイ)を使ってドローンを操縦するのが一般的だった。

ただ5日の改正航空法施行で、有人地帯の目視外飛行が可能になれば、ドローンの飛行距離・範囲は広がる。配送や監視、災害対策など、ドローンの大幅な用途拡大が見込まれており、電波の届く範囲が広い携帯通信を活用する意義は大きい。

大手通信事業者はレベル4解禁に伴う商機をにらみ、ドローン事業を加速する。NTTドコモは2021年11月、ドローン機体メーカーが手がける携帯通信対応の機体開発に対して技術支援を行うプロジェクトを設立。同プロジェクトで開発した機体を、通信やシステムなどとパッケージ化して販売する。

KDDIはドローンの運航管理システムの開発に注力。複数の機体の飛行状況を管理し、安全な運用を目指す

現在、医薬品配送と広域災害対策の用途向けでパッケージを提供中。同社傘下のNTTコミュニケーションズ(NTTコム)の柏大ドローンサービス部門長は、同パッケージの引き合いについて「22年度は21年度の倍のペースで問い合わせがきている」と話す。

KDDIはドローンの運航管理システムに注力する。レベル4解禁でドローンの数が増えれば、複数の機体の飛行状況を管理し、安全に運用するニーズが高まる見通しだ。

現在同社は同システムの技術・知見を生かし、日本航空(JAL)と共同で、1人の操縦者が複数のドローンを運航する「1対多運航」を実現する技術開発に取り組む。鹿児島県の奄美大島で実証実験を実施中。KDDIスマートドローン(東京都港区)の博野雅文社長は「航空法改正は一つのゲームチェンジ。ドローン市場の成長率以上の成長をしていかなければいけない」と力を込める。

一方、携帯通信機能を備えたドローンが安全運航する上では、課題もある。例えば、通信障害に備えた対応。ドローンは、全地球測位システム(GPS)を使って自律飛行を行うため、すぐに墜落するリスクは少ない。ただ障害で通信が途切れれば、遠隔でドローンの位置情報を把握できなくなる。KDDIは7月に起こした大規模通信障害を踏まえ「あらためて(障害対策の)重要性を認識し、より精緻な運航の考え方を整理している」(博野KDDIスマートドローン社長)。