京都大学と福井大学、日本原子力研究開発機構は8日、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)敷地内で計画する試験研究炉建設に向けて協力関係を強化する協定を結んだと発表した。国内の多くの試験研究炉が経年劣化などで廃止方針にある中、新設と3者の連携により産業利用の促進と原子力人材の継続的な確保につなげる。今後試験研究炉の整備に関わる企業を選定し、原子力規制庁に設置申請する時期を2024年度中に示す。

23年度から作業に入っている試験研究炉の詳細設計は、国内において約40年ぶりになる。今回の協定に合わせて、新試験研究炉の完成予想図も発表。原子炉のほかホットセルやビームホールなどで構成する。協定では新試験研究炉の計画や設計・建設、利用にかかる人材確保と育成、原子力研究や中性子利用にかかる学生教育などを盛り込んだ。また中性子ビームの産業利用や地域振興につながる施設の実現を目指していく。

廃止措置が進むもんじゅサイトの有効活用のため、原子力関係閣僚会議は16年に共同利用が可能な試験研究炉の新設を決定。20年に原子力機構や京大、福井大が中核的機関として採択された。また3者や地元自治体など関係者によるコンソーシアムを開設。国内における原子力研究を支える基盤が脆弱化している状況を踏まえて安全性などの視点も盛り込み、具体的な議論を重ねてきた。

同日、福井大付属国際原子力工学研究所(福井県敦賀市)で開かれた協定式で、小口正範原子力機構理事長は「(新試験研究炉の建設により)技術革新がすばらしいスピードで進むのではないかと考えている」と期待を込めた。