建機大手4社の2024年3月期は多くが前期比増益を見込むものの、増加ペースは鈍りそうだ。世界景気の先行き不安があることに加え、円高進行が重しになる。堅調な公共投資や資源価格の高止まりなどを背景に、世界建機需要が落ち込む可能性は小さい。ただ円高メリットが剥げ落ちることに加え、中国製の安価な建機がアジア市場へ流れる観測もあり、各社とも見通しは慎重だ。

建設機械4社

コベルコ建機が経常減益になるのは、前期の日野自動車製エンジンの認証問題に関する補償金収入の剥落が原因だ。日野自製エンジンに代わる代替機の発売、部品調達不足の影響緩和により油圧ショベルの売上高は増えるが、補償金収入が抜け落ちることことなどから、173億円のマイナス影響になる。値上げ効果も100億円を見込むが、マイナス金額が上回る。

コマツは営業利益では前期比微増、売上高と当期利益ではマイナスを見込む。建設機械・車両の売上高は前期比5・2%減の3兆1168億円に後退すると見ており、このうち2340億円が為替のマイナス影響になる。為替レートを1ドル=125円(前期は1ドル=134・8円)に見直した。セグメント利益でも為替影響が335億円の減益要因になるが、値上げ効果の1168億円で増益をたたき出す。

日立建機も24年3月期は円高がマイナス要因になるが、値上げ効果で影響緩和を目指す。自前営業に切り替えた米州事業や、高単価が見込める鉱山機械にも注力する。

住友建機は決算期を3月期から12月期に変更し、23年1―3月期は受注高、売上高、営業利益とも前年同期比プラスを達成した。中国の売上比率は前年同期の約8%から3%に低下。建設市場の冷え込みに加え、23年から新環境規制が施行され、昨年生産した安価な旧機種が出回って新車購入が増えないことが背景にあるという。対して北米の売り上げは前年同期比32・2%増の156億円に大幅増加。「今後は中国国内でだぶついた建機が安価を武器にアジア市場に流れないか、気がかり」(広報部)という。


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