京都大学の早川雅大助教と深沢愛子教授らは、炭素材料フラーレンが多数の電子を受け取れる電子受容性の起源が五員環構造にあることを突き止めた。球状のフラーレンの円周上をほどいた直鎖状分子を合成して物性を確かめた。直鎖状分子はフラーレンよりも可視光吸収性能が優れる。有機太陽電池や有機半導体などの開発につながる。

フラーレンの電子受容性が曲面構造に由来するのか、五員環構造に由来するのかを区別するために直鎖状分子のオリゴビインデニリデンを合成した。同分子はフラーレンの五員環に沿って円周上をほどいた構造を持つ。電気化学測定で還元状態を分析すると五員環の数と同数の電子を受け取れた。フラーレンの電子受容性は五員環構造由来と示された。

オリゴビインデニリデンは可視光を吸収でき、分子に沿って電子が移動する。この知見は電子受容分子の設計に生かせる。有機太陽電池や有機半導体などの機能性材料の開発につなげる。


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