九州大学のアルブレヒト建准教授と山岡敬子テクニカルスタッフは独ミュンヘン工科大学と共同で、樹状高分子で電気化学発光セルの寿命を従来比10倍の1300時間に延ばすことに成功した。電解質と混ざりやすくするために親水性の樹状高分子を合成した。分離が抑えられ寿命が延びた。電気化学発光セルは構造が単純なため、有機EL素子の次のディスプレー素子になる可能性がある。

樹状高分子は一定の分岐構造を繰り返す高分子。分子量や分子構造を制御しやすい。今回、樹状高分子の末端に親水性のメトキシ基を導入して親水性電解質と混ざりやすくした。すると黄色の発色材で輝度半減寿命が1300時間を超えた。レアメタル(希少金属)や金属元素を用いずに構成できた。

電気化学発光セルは発光材料と電解質を混合した発光層1層だけで作製できる。有機ELは多層構造になるため、コスト競争力で勝ると見込まれる。

今後、色を増やしてフルカラー化を目指す。