NECが全社セグメントを「社会インフラ」と「ITサービス」に二分して約8カ月がたった。通信、航空・宇宙、防衛など、“NECらしさ”を結集した社会インフラに対し、ITサービスはデジタル変革(DX)商戦のまっただ中で稼ぐ力の強化が進む。いずれも森田隆之社長の号令で“利益成長”を必達とする。収益拡大のけん引役である「NECデジタルプラットフォーム(NDP)」を中心に今後の勝ち筋を探る。(編集委員・斉藤実)

NDPはビジネスユニット(BU)本体が約6000人。主管する関連会社を含めると、総勢3万3000人の大所帯で、4月に発足した。システム構築(SI)主体で顧客に向き合う既存のBUに対し、製品・サービス軸で横串を通すことが役割。BU長を務める吉崎敏文執行役最高デジタル責任者(CDO)は「横断型の組織としたのは森田社長の意思があった」と打ち明ける。

NDPは全社マーケティングと戦略コンサルティングに加え、製品・サービスの供給元として利益を管理する。「顧客に近い部門が利益を管理すると(安売りで)利益は低くなる。全社横断の大きなプールで管理すればそうはならず、意思決定も速くなる。既存のBUで共有化できるものは全て、横串のNDPに降ろした」(吉崎CDO)。

攻め口は多彩。まずは生成人工知能(AI)商戦で攻勢をかけている。CDO直下に100人以上の生成AI専門組織を設置。7月に開いた発表会では、標準的なサーバーで動作可能な軽量な日本語大規模言語モデル(LLM)をいち早く披露した。業種特化型LLMの開発にも乗り出している。

ただ、これだけでは生成AI商戦のつば競り合いで先んじたに過ぎない。NDPでは次の展開を見据える。キーマンの一人である山本宏マネージング・エグゼクティブ・チーフアーキテクトは「現状のNECのビジネスモデルはテーラーメイド(注文仕立て)型ソリューションだ。これにSaaS(ソフトウエアのサービス提供)型のレディーメード(既製品)を加え、どこで戦うのかを考える。それが私の仕事だ」と明言する。

山本氏は吉崎CDOが古巣のIBM人脈から引っ張ってきた、いわばNDPの参謀役。「NECは(現実世界を仮想空間に再現する)デジタルツインのインスタンス(実体や事例)も複数持っている。それらをインダストリアル・メタバース(産業向け仮想空間)と組み合わせ、『システム・オブ・システムズ(SoS)』として価値を提案する。そこが当社の勝ち筋であり、社会インフラも手がけていることも強みだ」と語る。

SoSとは全体を相互に連携するシステムの集合体として捉えて開発・運用するエンジニアリング手法を指す。ITと制御系(OT)の融合や、AI活用によるデジタルツインで技術革新をいかにリードできるかがカギとなる。

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