双日は27日、2024年4月1日付で植村幸祐執行役員(55)が社長に昇格する人事を発表した。藤本昌義社長(65)は代表権のある会長に就く。社長交代は7年ぶり。食品事業など非資源分野の強化や低採算事業の売却による収益基盤の強化が進み、同社は23年3月期に連結当期利益が初の1000億円台に到達。新中期経営計画が始まる24年度にトップの若返りを図り、さらなる成長を目指す。

植村氏は化学部門やエネルギー分野を長く担当し、21年に化学部門担当の執行役員に就任。23年4月からは経営企画担当本部長として、会社全体を見渡しながら新中計の策定準備を進めてきた。同日都内で開いた会見で植村氏は「24年度から始まる中計では双日らしい成長ストーリーで、さらなる高みに向けて事業を発展させたい」と意気込みを示した。

藤本氏は社長在任中に石炭権益の撤退方針を決めたほか、外食大手ロイヤルホールディングスとの資本業務提携など非資源分野を強化。構造改革が奏功し、23年3月期に2期連続で最高益を更新した。植村氏については「決断力があることを一番評価した」(藤本氏)とし、次の成長ステージのかじ取りをバトンタッチする。

双日は同日、24年度から始まる3カ年の新中計の基本方針も発表。脱炭素など環境・社会・企業統治(ESG)経営の推進や事業横断的なデジタル変革(DX)を推進する方針を示した。

【略歴】植村幸祐氏 93年(平5)東大農卒、同年日商岩井(現双日)入社。21年執行役員化学本部長、23年執行役員経営企画担当本部長。兵庫県出身。

素顔/双日社長に就任する植村幸祐(うえむら・こうすけ)氏
成長へ決断力生かす

藤本昌義社長から次期社長の打診を受けたのは10月上旬。「予期せぬことで大きな驚きだった」としながらも「現在の基盤をしっかり引き継いでさらなる発展に精進したいという決意をその場で伝えた」と明かす。

最も思い出深い業務に、米国駐在時に担当した石油・ガス開発事業を挙げる。商品貿易など商社の従来業務とは異なるプラントの操業を手がけた。「自社でプラントを運営するとは一体どういうことなのか、米国人とのコミュニケーションを含め全く違う業務から多くのことを学んだ」と振り返る。

事業運営では「情報が全部そろっての判断は誰でもできるが、3割程度の限られた情報で決断することが必要になる」と気を引き締める。藤本社長が評価する植村氏の決断力に期待がかかる。

趣味はゴルフ。社内では「半強制的にやらされている人もいるが、自分は大好きだ」と笑いを誘う。(編集委員・田中明夫)