電力大手10社の2024年3月期連結業績予想は、東京電力ホールディングス(HD)が依然として数値を公表しない一方、中部電力は大幅な当期増益、それ以外の8社は前年度の赤字から黒字に転換する見通し。燃料価格の変動が数カ月後に電気料金に反映される燃料費調整制度の期ずれ(タイムラグ)差益や、電気料金の引き上げに伴うもので、5社が通期予想の利益額を上方修正した。

東電HDは福島第一原子力発電所の事故で発生した「ALPS処理水の海洋放出に伴う賠償額の見積もりができない」(山口裕之代表執行役副社長)として、通期予想の公表を見送った。この時期に通期予想を発表しないのは異例。1月28日までに約37億円を支払い、3月末までに370億円を計上したが、今後の請求額が見通せないためだという。

東北電力は前回予想より営業利益で900億円、経常利益で800億円、当期利益で600億円上方修正。九州電力は営業・経常利益で300億円、当期利益で200億円上方修正した。中国電力は営業利益で190億円、経常利益で150億円、当期利益で130億円上方修正した。

北海道電力は営業・経常利益が280億円、当期利益が240億円上方修正。また北陸電力は営業・経常利益を300億円上方修正する一方、1月1日に発生した能登半島地震の設備復旧費用などが未確定で、当期利益は未定とした。沖縄電力は唯一、営業利益を3億円下方修正した。

関西電力と中部電力は前回予想を据え置いた。関電は原子力利用率が前年の4割程度から8割近くに向上し、売上高と全利益額で過去最高を更新。中部電も経常・当期利益が過去最高となる見通しだ。