DICはエレクトロニクス関連材料の事業拡大に乗り出す。“エレクトロニクス仕様”の化学・素材を軸とした事業を「ケミトロニクス」と定義し、事業本部を新たに設立。経営資源を集中し、半導体のフォトレジスト用樹脂や高速通信向けの低誘電材料など成長領域の取り込みを強化するほか、関連製品の開発・実装を加速する。ケミトロニクスを成長のけん引役に位置付け、2026年に対象セグメントの営業利益で50億―70億円の上積みを目指す。

DICは優れた低誘電特性と耐熱性の両立を実現する活性エステル系のエポキシ樹脂硬化剤を開発するなど、高速通信向けのソリューションを展開している。データ通信量の増加に伴いこうした材料の需要拡大が見込めるほか、半導体封止材・電子基板用のエポキシ樹脂や工業用テープなども半導体市場の成長を商機と捉える。

23年にはカナダの半導体用フォトレジスト樹脂メーカーを買収した。同社が持つ超低不純物の品質管理や量産技術を活用し、先端分野での存在感を高める。またポリマー設計から量産まで一貫対応できる体制を構築し、国内外でのシェア拡大につなげる。

さらに30年を念頭に、有機フッ素化合物(PFAS)を使わずに同等の性能を実現する界面活性剤など、サステナビリティー(持続可能性)に貢献する製品も事業成長の柱に据える。

エレクトロニクス関連などを含む「ファンクショナルプロダクツ」セグメントは、23年12月期の売上高が前年同期比3・0%減の3059億円、営業利益は同34・6%減の154億円だった。ただ、グループ全体の営業利益率は1・7%にとどまり、稼ぐ力の向上が全社的な課題となっている。

こうした中、ケミトロニクス事業は高付加価値製品を中心に構成する。中長期的な半導体市場の成長なども背景に、DICが自社技術の応用を見込める分野となる。収益改善の切り札として、事業展開を加速させる。


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