パシフィックシステムは人工知能(AI)を使って生コンクリートのスランプ値(軟らかさ)をリアルタイムで予測するシステム「PreSLump AI(プレスランプ・エーアイ)」のサブスクリプション(定額制)サービスを始めた。AIの深層学習(ディープラーニング)による画像認識技術により、ミキサー内部の生コンが練り混ぜられる画像を即時に解析して数値を予測する。定量的な品質評価が可能になり、コンクリートの安定品質の確保や省人化につながる。

スランプ値は「スランプコーン」と呼ばれる型に生コンを入れて型から引き抜いた時に、高さがどのくらい下がったかで示される軟らかさの指標。PreSLump AIは、生コン工場に設置した解析用カメラで製造プラントのミキサー内を撮影する。生コンの材料となるセメントと砂利、砂、混和剤、水の練り混ぜが始まると自動的にモニター画面にスランプ値が表示される。AIが熟練技術者に代わって定量的な品質評価ができるようになるため、品質の安定化に貢献する。全バッチの予測スランプ値もリアルタイムで確認可能だ。

サブスク料金は消費税抜きで月額21万円。契約後にカメラや機器の設置や工事を行うとともに、ミキサー内の画像と実測スランプ値を収集。集めたデータからAIモデルを作成する。撮影画像はクラウドに保存してAI精度の向上に活用するほか、AIモデルも年1回更新するなど保守も含めてサポートする。同社が2023年12月に発売した生コン製造プラント用計量操作盤「PAT―ONE(パットワン)」にもオプションで対応する。

PreSLump AIは太平洋セメントと共同で開発した。パシフィックシステムは太平洋セメントの子会社で、さいたま市桜区に本社がある。1980年に旧秩父セメントのシステム部が分離独立して設立した。設立当初から画像処理技術を活用した装置を幅広い業界に納入してきた実績がある。近年は建設や建材業界だけでなく繊維・化学や鉄鋼・加工、鉱業の分野でも検出や分類の精度向上につながるAIソリューションを提供してきた。

従来は個別企業向けにオーダーメードでAIシステムを開発して提供してきたが、PreSLump AIは初めて汎用パッケージとしてサブスク販売に乗り出した。技術開発室の清水勇室長は「23年4月に発売して全国の生コン会の集まりで紹介したり、システムを導入した工場で見学会を行っているが、反響は大きい」と手応えを感じている。


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