LiB開発などに知見活用へ

豊田自動織機の電池事業が着実に拡大している。2021年に車載電池として世界初となるハイブリッド車(HV)用バイポーラ型ニッケル水素電池の生産を開始。24年1月には石浜工場(愛知県東浦町)の第2新棟を稼働し、同電池の年間生産能力は同社全体で72万台になった。同電池を搭載するトヨタ自動車の車種も増加傾向にある。今後HV需要はさらに伸びる見込み。豊田自動織機における電池事業の重要性が増している。(名古屋・川口拓洋)

豊田自動織機はバイポーラ型ニッケル水素電池をトヨタと共同開発。21年5月に共和工場(愛知県大府市)でトヨタの小型HV専用車「アクア」向けに量産を開始した。

同電池は一つの電池ケースの中に、集電体(金属箔〈はく〉)と電極(正極・負極)を集約することで小型化と高出力化を両立。従来型の駆動用電池に比べ同じ体積で2倍の出力を発揮できる。「高い出力を生かし低速からスムーズな加速と、滑らかな走りに貢献する」(伊藤浩一豊田自動織機社長)。

アクアに初採用された後も、旗艦モデル「クラウン」の新型車の一種である「クロスオーバー」や「スポーツ」に搭載。このほか高級車ブランド「レクサス」のスポーツ多目的車(SUV)「RX」や小型ラグジュアリー車「LBX」、高級ミニバンの新型「アルファード」「ヴェルファイア」など、採用車種が増加している。

豊田自動織機では共和工場での生産を皮切りに、22年10月に石浜工場を建設し、生産能力を2倍の年48万台に増やした。さらに石浜工場第2新棟の稼働で、同24万台分を上乗せした。

トヨタによるとHVの需要は増加傾向にある。同社の23年のHV世界販売は342万台で前年比31・4%増だった。同社はHVの年間販売台数が25年にも500万台を超えると見ており、HVの主要ユニットの一つである電池の生産能力強化も必要になりそうだ。

豊田自動織機ではバイポーラ型ニッケル水素電池の開発・生産で培った材料や量産のノウハウを、次世代電池にも生かす方針を掲げる。航続距離延長や充電時間の短縮などが期待される「バイポーラ型リチウムイオン電池(LiB)」や全固体電池にもトヨタとともに取り組む。顧客のニーズに沿う電池を開発し、車の付加価値向上や幅広い選択肢の提供につなげる。

豊田自動織機の伊藤社長は「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現を目指し、時流に先んずる製品・技術の提供に努める」と意気込む。


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