東海理化は年齢や性別などにかかわらず働きやすい製造現場を実現するため、国内4工場で作業の改善に取り組んでいる。エルゴノミクス(人間工学)に基づいて身体負担を評価できる独自のアプリケーションを開発し、負担が大きかった作業を見直している。2024年9月には初めて車いすの社員が働ける生産ラインも設置した。「からくり」機構も取り入れた工夫で「人にやさしいライン」を構築する。(名古屋・増田晴香)
本社工場(愛知県大口町)の大口組立生産部では、幅広い年齢層の従業員が勤務する。定年後の再雇用が増えるなど高齢化も進んでおり作業負担の低減は喫緊の課題だ。従業員を対象にアンケートを実施し、比較的重い部品を扱う作業や歩行が多い作業などを洗い出して改善に着手した。
ハンドル周りのエレクトロニクス製品を組み立てるラインでは、改善前は複数の「部品シュート」から供給される各部品を作業員が順に取って組み立てていた。この動きは腕や肩に負担がかかるとして見直した。構成部品をあらかじめパッケージにしてレール上に流すことで手元化し、作業員は腕に負担をかけずに組み立てることができた。
エルゴノミクスに基づき動作を分析するアプリケーションも独自で開発した。市販の動作分析ソフトウエアは重量物を扱う際の腰や下半身への負担を測るものが中心だが、同社では腕や肘、肩など上半身の負担になる動きが多いことなどから自社で開発した。
もともとは一つの動作を評価する際、ビデオをコマ送りで何度も見て確認したりと手間や時間がかかっていた。自社アプリを使って改善すべきポイントが早く分かるようになり、負担の高い作業は優先して改善に取りかかっている。
また24年7月には車いすの社員を1人採用し、車いすのまま働ける生産ラインを初めて設置した。ドアミラーを組み付けるラインで、「ヒーター・インジケーター組み付け」「ハンダ付け」など5工程を円形に配置した。社員が一つの工程を終えると、床の装置がターンテーブルのように動いて次の工程に移る。
各工程で作業面に傾斜をつけたり、からくりや協働ロボットで部品を手元に供給するなど負担を低減する工夫がある。車いすの社員は「任せられた作業や工程を自分で完結でき、責任ややりがい、楽しさも感じる」と手応えを語る。
佐藤義博工場統括本部長は「社員が多様化しているなか、いかに楽な作業に変えていくかが重要」と話す。工場間での横展開も進め、多様性に対応する。
ポイント
老若男女誰もが働きやすいラインを目指し、同社で扱う製品に合わせた独自の動作分析・評価や改善に取り組む。障がい者向けに実施した改善であっても、健常者にもやさしいラインを構築するヒントとしてノウハウを蓄積する。


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