―サプライヤーに示した2017年度の調達方針は。
 「スズキがグローバルで向かう方向性を示し、必要な準備をしてほしいとお願いした。品質問題は最優先。原価低減は日々の積み重ねが重要で、一発逆転ホームランはない」

 「机上で考えても改善は進まない。現場へ行き1グラムでも1円でも削減する“1部品1グラム1円活動”を一緒にがんばっていこうというスタンスだ」

 ―インド・グジャラート州に新工場を稼働しました。部品調達の現状と今後の戦略は。
 「現時点で周辺に日系メーカーはほとんどない。今後、生産量が増えてきたら、やはり輸送効率の悪いシートやプレスの大物部品は近くで調達したい」

 「ただ、グジャラートは既存工場があるハリアナ州とは文化も異なり、外国人も少ない。無理に進出して本体がおかしくならないよう、そこは注意している」

 ―20年代初頭にはグジャラート工場だけで年産75万台規模を計画。サプライヤーの誘致は不可欠です。
 「スズキがインドに進出した80年代初めも日系部品メーカーはほぼ皆無で、先人が苦労してグルガオン工場の敷地内で現地企業を育てた。マネサール工場も隣に部品団地を建設した」

 「グジャラートにも同じように部品団地を用意し、進出しやすい環境を整える。政府も熱心に支援してくれる。今後、グジャラート工場の生産規模は着実に増える。部品メーカーには長期的な増産計画を示し、進出を検討してくれているメーカーは複数ある」

 ―トヨタ自動車と業務提携しました。
 「すでにデンソーやアイシングループなどトヨタ系大手とは大きな取引がある。調達部門として個別交渉はしていない」

 ―電動化や自動運転への取り組みは。
 「他社より進んでいるとは思わないが、あまり遅れないよう我々なりに一生懸命取り組んでいる。自前で開発しないと、どこかと組むことになっても身につかない」

 「技術は大きく変わろうとしている。技術が変われば設備も作り方も変わる。サプライヤーからも積極的に提案してもらいたい。これまでより少し先を見て、早い段階から一緒に取りんでいきたいと思っている」

【ファシリテーターのコメント】
綾部氏は「ワゴンR」の開発なども担当した技術畑出身。自動運転など技術の潮流を読み、調達の将来構想を描く。スズキは自社の強みと弱みをよく知る。大黒柱のインド事業を着実に強くする一方、課題の先進技術では、トヨタや系列サプライヤーとどう関わっていくか。バランス感覚としなやかさが問われる。
(日刊工業新聞浜松支局・田中弥生)
日刊工業新聞 記者