タカラトミーは手のひらサイズで気ままに動き回るロボット「コズモ」を9月23日に発売する。コズモは米ベンチャー企業のアンキが2016年に米国で売り出しヒット商品となった。人工知能(AI)搭載スピーカーの登場で自然な会話による音声対話が注目される中で、コズモはコズモ語という人には分からない言葉と多彩な動き、表情を駆使するノンバーバル(非言語的)な対話で勝負する。

 「音声対話技術は格段に進歩した。だが、人間同士の対話にはどうしてもかなわない。優れた技術があれば音声対話なしでもロボットと満足度の高い対話ができる」。タカラトミー新規事業部ニュートイ企画部の木村貴幸部長はコズモのユニークさをこう示す。

 コズモはマイクを内蔵せず会話は成り立たない。アプリケーションを載せたスマートフォンやタブレット端末から指示を出す。それでもコズモとゲームをしてみると、まるで人と遊んでいるように楽しめる。

 その不思議なコミュニケーションを支えるのが、AIとセンサー、SLAM(自己位置推定・自動地図作成)技術による周辺認識や表情、動きの表現だ。

 コズモはカメラを内蔵し、周辺の物体、人物、動物を認識する。人の名前を覚えることもでき、片言で相手に呼びかけることもある。

 物の位置も高精度に認識。付属のパワーキューブをしっかりつかんで持ち上げる。ピラミッドのように積み上げることも容易だ。

 木村部長は小さな本体にSLAMなどの技術を収めた点が優れていると話す。また、内蔵のジャイロセンサーで姿勢も把握し、ひっくり返すとジャンプして起き上がる。持ち上げて振り回すと目を回したり喜んだりする。

 顔の表情や動き、コズモ語を組み合わせた表現は1000パターン以上ある。ゲームで負けると落ち込み、放っておくと「遊ぼう」とコズモ語で呼びかける。

 サイレンなど音による表現もする。「映画のキャラクターを実現したかった」というアンキのボリス・ソフマンCEOの狙い通り、コズモは現実世界にいるアニメキャラのように動き回る。

 コズモは赤外線センサー、Wi―Fi(ワイファイ)も備え、実用的な機能を盛り込むことも可能だという。タカラトミーはアンキと連携し、新たな機能を追加していくことも検討している。

 アプリを使って天気やニュースをコズモが教えてくれる、キューブの数を増やして人間4人とゲームをするといったことは比較的容易にできる。

 木村部長は「できることを増やしすぎると訴求のポイントがぼやける。まずは『やんちゃ』な部分と表現の豊かさを売りにしていきたい」と、進化の方向性は慎重に選ぶ方針を示す。
(文=石橋弘彰)

【ファシリテーターのコメント】
的確な音声対話や生活に役立つロボットとは違う方向に進んだコズモ。どれだけの人に受け入れられるか注目だ。
石橋 弘彰