スマートフォンで世界3位の中国ファーウェイが、日本市場へ攻勢をかけている。スマホやタブレット型端末に続いてパソコン市場に本格参入し、2017年内には千葉県船橋市に「製造プロセス研究ラボ」を設立する。日本は最先端のデジタル製品の購入意欲が高く、有力なサプライヤーも多い。市場とモノづくりの両面で日本を重視する考えだ。

 ファーウェイ・ジャパンで端末部門を担当する呉波副社長は、日本市場での目標を問われると、毎回、「生き残ること」と答える。

 スマホなど製品に対する先進機能の搭載や新分野への開発投資で業界をリードする企業にもかかわらず控えめだ。中国シャオミの盛衰で明らかなように、スマホ市場の主役は1―2年で入れ替わる。ファーウェイは積極的な施策と謙虚な目標で、自らを律しているようだ。

 17年春から夏にかけて、先進技術を搭載した製品を日本市場に相次いで投入した。7日に発売した同社初の折り畳み式パソコン「メイトブックX」は、業界で初めて空冷用のファンをなくし、厚さ12・5ミリメートルの薄型化を実現した。呉副社長は「ワンタッチログイン機能や操作性などに、モバイル端末の経験と研究開発のリソースを活用した」と説明する。

 同社は、タブレット端末として使える「2イン1パソコン」を16年に発売したばかりの新参者。今回、パソコンとして一般的な折り畳み式を商品に加え、パソコンメーカーらしくなってきた。

 成熟市場は伸びしろが小さく見えるが「既存メーカーは研究開発よりも価格競争を重視してきた」(呉副社長)と、市場停滞の原因を指摘する。低価格帯の市場は狙わず、技術によって需要を掘り起こす。

 スマホにおいても独ライカと協力してダブルレンズカメラを開発し、同カメラを搭載した新機種「P10」シリーズを発売した。前機種のP9では日本に発売しなかった高価格帯の「P10プラス」も投入し、ブランド力の向上を狙う。

 技術で差別化するため、日本の電子部品メーカーなどとの連携を深める。日本研究所(横浜市神奈川区)に加え、千葉県に製造プロセス研究ラボを立ち上げ、17年末までに数十人体制とする。

 同ラボでは、サプライヤーやパートナー企業と協力し、ファーウェイ製品に使用される一部の部品の製造プロセス技術について研究や試験、試作を行う。日本の製造技術や品質管理、そして「品質を極めるモノづくりの心に学ぶ」(同社)という。
(文=梶原洵子)

【ファシリテーターのコメント】
日本市場は成熟しているとはいえ、安定した規模があり、デジタル製品にとって魅力がある。技術による差別化を追求して攻勢をかけ、勝ち残りを目指す。
(日刊工業新聞第一産業部・梶原洵子)

日刊工業新聞 記者