船井電機は有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)テレビの開発体制を刷新した。2018年夏の市場投入に向け、分散していた開発部門を一本化。経営資源を集中して投入できる体制を整え、商品化の期間を短縮して競争力を高める狙い。経営再建中の同社は新規分野の育成より、有機ELテレビなど主力のAV事業のテコ入れを優先する方針。開発部隊を集約し、優れたAV関連商品の開発を急ぐ。

 船井電機は技術開発部門を「事業部制のような縦割りではなく、責任が明確で簡潔な組織」(船越秀明社長)に変更し、7月に運用を始めた。

 これまでディスプレーやプリンターなどの製品ごとに担当を分けていた。今後は担当を厳密に分けず、一つのテーマに人員を集中投入し、開発期限などの目標も技術者が共有する。これにより、有機ELディスプレーの台頭など、流行の変化に対し経営資源を柔軟に変更できる。

 北米のAV事業の収益悪化を受け、プリンターなどの新規事業を育てる方針だったが、経営資源が分散する弊害もあった。

 同社は6月からヤマダ電機で液晶テレビを独占販売しており、毎年、新機能を盛り込んだ製品を投入する方針。さらに18年夏に発売する計画の有機ELテレビは、液晶ディスプレーと構造が大きく違う。このため新たな画質エンジンの開発などに、経営資源を集中する必要がある。

 今後、ヤマダ電機とは連携を深め、AV製品の品ぞろえを拡大する。加えてヤマダ電機が重視する住宅分野でも、家族の安否などに関わる商品に自社技術を応用できないか検討する。

 AV事業の収益回復を軸に18年3月期連結決算は、11年3月期以来7期ぶりに営業損益の黒字転換(17年3月期は67億円の赤字)を見込む。


【ファシリテーターのコメント】
4日、船井電機の創業者である取締役相談役の船井哲良氏が死去した。同社の経営に深く関与していただけに、カリスマ経営者亡き後、船越社長がどんな舵取りをするのか注目される。テレビ事業を担ってきた船越氏は「AV事業で成長戦略を描く」との方針を掲げる。ただ同分野で利益改善に苦しんできた日本企業は、一足先に事業の縮小と高付加価値路線に舵を切っている。一方の船井電機はOEMで強みとしてきた低コスト力が以前ほどの力を発揮せず、かつブランド育成にも時間がかかりそうだ。進む道は険しいと予測されるが、起死回生の妙手を打てるか。ヤマダ電機との提携は、その試金石となるだろう。
政年 佐貴惠