長崎県のほぼ中央に位置する東彼杵町にウラノ(埼玉県上里町、小林正伸社長)の長崎工場がある。同社の強みはチタンやインコネルなどに代表される難削材の加工。航空機の開閉部分に使われる部品やエンジン部品などを手がける。米ボーイングの旅客機「787」向けチタン材加工の受注規模では国内で指折りという。

 難削材の加工技術のルーツは1990―00年初頭まで重電向けプラントに関係する仕事を手がけたこと。加工対象物(ワーク)を削る工作機械を豊富にそろえ、発電所で使われるインペラや耐熱合金のブレードを加工した。

 小林正樹副社長は「難削材加工を逆に狙いに行った」と当時を明かす。背景にはアルミ加工の競争激化があった。そこで差別化するため、機械設定が難しく管理要求も高い分野にあえて乗り出したことが今日まで続く技術の基礎を築いた。

 長崎工場では「スピンドルを回してなんぼの世界」(小林副社長)と機械の稼働率を高めることを重視。人の手が加わる工程の削減に取り組む。例えば表と裏を各1工程で削っていたものを、段取りを工夫することで合わせて1工程にしたこともある。そのような挑戦を、品質要求を守りつつ続けてきた。

 10年前に工具の寿命を予知するシステムを自社で構築した。今後はさらにデータを蓄積して見える化することで作業者が寿命を設定しやすい環境づくりを進める。

 同社は九州経済連合会のQAN(九航協エアロスペース・ネットワーク)に参加している。QANは航空機産業への進出を狙う九州の企業による組織で企業連携を深めている。

 メンバーの新日本非破壊検査(北九州市小倉北区)とは材料に目視で分からない傷がないかを検査する浸透探傷検査で連携している。自前の技術習得では時間を要する分野でも、他社との連携によって導入を早め、成長を加速させようとしている。
(文=西部・増重直樹)

【ファシリテーターのコメント】
長崎工場と本社のある埼玉工場の2拠点体制。半導体製造装置部品なども製造する。長崎では現工場に隣接する新工場が10月に稼働予定。米ボーイングの次世代機「777X」などの生産レート上昇に対応する。16年7月期の売り上げは約35億円。今後は生産性向上を目指し工場のIoT(モノのインターネット)化を展開していく。
(日刊工業新聞西部支社・増重直樹)
日刊工業新聞 記者