夏祭りのシーズン。提灯(ちょうちん)の下に縁日の屋台が並び、団扇(うちわ)を手にした浴衣姿の男女が行き交う。日常と違う街の景色には日本の情緒がある。

 ところが、まったく別の夏祭りが各地で定着しつつある。野外でのコンサート、いわゆる「野外フェス」である。今週末には観客10万人超の巨大イベントとして知られる「フジロック・フェスティバル」が新潟県湯沢町の苗場スキー場で開かれる。

 他の野外フェスの開催情報をみると、ロックばかりでなく、ジャズやレゲエなど幅広いジャンルで、規模も大小さまざま。複数のバンドやアーティストが出演するので、初めてライブを聴いて好きになる発見もある。

 大抵は野原にステージを作っているので、後方で座ってアルコールを飲みながら、のんびりと演奏を流し聞けばいい。夕暮れ時にステージの周囲が刻々と夜に移っていく風情も、夏の野外ならでは。

 以前に参加して意外だったのは、観客が若者ばかりではないことである。子連れの夫婦や中高年の姿も珍しくない。フジロックでも28日には、80歳になった“若大将”の加山雄三さんがゲスト出演する。盆踊りと違って多くの場合、入場は有料だが、家族で野外フェスを楽しんでみるのも悪くない。


【ファシリテーターのコメント】
今では地域の経済振興役ともとらえられる音楽フェス。フジロックも地場産業と密接な関係を築いていますが、苗場に会場を移した当初は地元とのあつれきが少なからずあったようです。今や越後湯沢の駅を下りればフジロックのロゴと共に「Welcome to YUZAWA」と書かれたフラッグがお出迎え。会場周辺の宿や商店、飲食店、温泉施設のおじさま・おばさま方による「フジロッカーズ」の扱いもお手の物で、地元の方との会話も魅力の一つです。フジロックの先例があったからこそ、各地にフェスが根付いたともされています。最近では地方の特色を活かしつつ、中身も充実したフェスが増えました。時期も夏に限らず、年中通して数多く開催されています。個人的に一度は行ってみたいのは福岡のサークル、北海道のライジングサン。海外では英国のグラストンベリーや、スペインのソナー・・・キリがないですね。ちなみに加山雄三さんのロックへの思いなどは、フジロックの公式メディアで読めます。フジロックの話題だけでなく、パワフルさや溌剌とした歳の重ね方には刺激を受けます。
政年 佐貴惠