群馬県北西部に位置し、長野県に隣接する長野原町。ここである建設現場の見学会が人気を呼んでいる。八ッ場ダムの見学ツアーだ。夜間に見学するナイトツアーでは、幾重のライトに照らされ、浮かび上がる作業現場は、まるで大作映画の巨大セットのよう。見る者を圧倒するその迫力に、見学者から「すごい」と歓声があがる。

バスでの行程も見学者の気分を盛り上げる。出発時には暗闇だった車窓からの景色は、次第に光線が多く見られるようになり、興奮をあおる。バスを降りて真正面に見える風景は圧巻。眼下に広がる煌々(こうこう)と照らされた作業現場。見上げると目に飛び込むのは一面の闇。そのコントラストの美しさに引き込まれてしまう。

関東で建設中のダムを見学できるのはここだけ。2019年度完成予定で、この見学ツアーは数年後に幻のツアーとなる。その希少性に加え、昼と夜で印象が異なる点もリピーターが多い由縁だ。

群馬県も県を代表する観光資源と位置付ける。県広報課の設樂修一次長は「八ッ場ダムの見学をきっかけに、多くの人が群馬を来訪する。この集客を地域の活性化につなげたい」と話す。今しか見ることができない絶景。再度足を運び、その雄姿を目に焼き付けたい。
(文=群馬・大友裕登)
【アクセス】▽群馬県吾妻郡長野原町▽電車ではJR上野駅から特急「草津号」で長野原草津口駅まで2時間半。車では関越自動車道渋川伊香保インターチェンジから約1時間10分。現場見学は、国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所のホームページで情報を確認のうえ、事前予約が必要。一人でも参加可能。

【ファシリテーターのコメント】
豪雨や台風などによる水害や、日照りによる渇水などの被害を軽減するため、ダムの機能が見直されている。災害対策に加え、水力発電など再生可能エネルギーの活用という点からも重要性が増している。国交省は既存ダムの有効活用に向けた「ダム再生ビジョン」を策定し、ダムの長寿命化や柔軟な運用などの方針を打ち出した。こういうツアーを通じてダムの機能や重要性の理解が深まれば。
明 豊