第一工業製薬のセルロースナノファイバー(CNF)を使用した増粘剤「レオクリスタ」が、新たに化粧品や日用品に採用された。水性ゲルインクボールペンに続く実用化で、CNF製品の用途を広げつつある。有機溶剤にもなじみやすいCNFのサンプル出荷も3月から始めた。用途展開を進めることで、2019年をめどにCNFの生産能力(製品重量ベース)として年200―300トン規模を目指す。

 レオクリスタは、低添加量でも高い増粘性がある。通常はゲル状だが、力がかかると急激に粘性が低下する特徴を持つ。このため、スプレーとして噴霧できる。

 ボールペンでは、筆圧でインクとして使える。化粧品のクリームなどにレオクリスタを添加すると、手に取りやすく、塗って広げやすくなる。また、レオクリスタを添加すると液体中の微粒子の分散性が高まる。

 通常のCNFは親水性があり、有機溶剤中では凝集し、均一な分散が難しい。同社では、CNF表面にある水酸基による結合を抑制し有機溶剤になじみやすくした疎水変性CNFを、3月からサンプル出荷している。同CNFを添加するとペースト状の材料を塗布しやすくなる。今後、産業用ニーズを開拓する。

 レオクリスタは14年半ばから、大潟事業所(新潟県上越市)で生産している。



【ファシリテーターのコメント】
創業100年を超える第一工業製薬の最盛期は戦前。繊維工業用の薬剤で事業を拡大し、中国にも工場進出していた。戦後は家庭用にも乗り出したが、現在は工業用に特化。ただ「モノゲンユニ」の商品名に懐かしさを覚える人も少なくないだろう。CNFはポスト炭素繊維として期待が大きいが、同社が手がけるのは増粘剤として。派手さはないが、着々と実績を上げ始めている。エレクトロニクスばかりが京都企業ではないです。
尾本 憲由