米アマゾン・ドット・コムグループが主催するロボットコンテスト「アマゾン・ロボティクス・チャレンジ(ARC)」が名古屋市国際展示場(ポートメッセなごや、名古屋市港区)で27日から30日まで開かれている。物流施設の作業で自動化が難しいピッキング作業をロボットが行うもので、今回が3回目。日本からは三菱電機、パナソニックなど4チームが参加し優勝を目指している。

 27日はリハーサル。28日には箱からさまざまなアイテム(物)を取り出し棚に入れる「ストウタスク(棚入れ)」、29日は棚に入ったアイテムを注文通り仕分ける「ピックタスク(棚出し)」が行われ、16チームが競った。

 各チームは人工知能(AI)技術のディープラーニング(深層学習)を使ってアイテムを認識する。学習はあらかじめしておくことになるが、今回は半分の種類のアイテムを直前まで教えず未知のアイテムへの対応力も試すものになっている。

 日本の4チームにとって今回は地元開催でもあり、力が入る。海外開催はロボットなどの機器を輸送して現地でくみ上げるため1ー2週間の準備期間が失われる。地元開催は時間的に有利だ。

 ストウでは、午前中に競技したパナソニック、奈良先端科学技術大学院大学のチーム「NAISTパナソニック」が会場を沸かせた。

 他のチームがつかめず苦労していたアイテムを器用につかんでいく。どのチームもアイテムをつかむ手段はロボットの手にあたる部分に吸引装置をつけるケースが多い。メッシュのペンケースを吸ってつかむのに手間取ったが、20アイテム中18アイテムを棚に移した。結果は110点で4位。

 午後は三菱電機、中部大学、中京大学のチーム「MC2」が登場。チームとして初回から出場するベテランチームらしく、円滑に作業をこなした。

 途中、ベルトのついた金具状のアイテムを吸い込めずに手間取る。このアイテムを「取りやすさの優先順を高く認識してしまった」(三菱電機)ため時間をロスし、18アイテムをピッキングしたところで制限時間となった。残ったアイテムは取り出しやすいものだっただけに悔しさが残る。最終的には120点で3位となった。

 ストウで優勝したのはマサチューセッツ工科大学(MIT)などのチーム「MIT?プリンストン」。もともと「新しい技術を必ず使ってくる」(同)と注目される立場だったが、他を突き放す160点で優勝した。2位はシンガポールの南洋工科大学のチーム「Nanyang」が入った。点数は125点。

 29日のピックはさらに難易度が上がる。32のアイテムから指定された10のアイテムを取り出し、三つの箱に指定通り入れる。

 バラバラにアイテムが入った箱から任意のアイテムを取り出すことは難しい。競技でも、プログラムがうまく動かず、リセット(ペナルティーあり)するチームが相次いだ。

 NAISTはリセットが響き振るわず80点。MC2もリセットやアイテムを落としてしまうなど苦戦し0点だった。東京大学の「チームK」は初日のリハーサルは調子が良かったようだが、本番では苦戦しピックも45点。鳥取大学と東芝の「チームT2」はピックで得意の画像認識が力を発揮し100点と健闘した。

 13チームが競技を終えた段階で、シンガポールの南洋工科大学のチームがトップで257点。インドの「IITKーTCS」が160点で続く。

 30日は上位8チームによる決勝ラウンドが行われる。ストウ、ピック双方の作業を続けて行う難解な競技だ。チームの総合力が試される。




【ファシリテーターのコメント】
回を重ねるごとに難易度を上げているARC。参加者によると「面白いゲームのように、ちょうどいい難易度」だそうだ。ロボットの技術者がチャレンジするにはうってつけのテーマのようで、最終ラウンドでどんなチャレンジの成果が発揮されるか、楽しみだ。
石橋 弘彰