パナソニックの系列店「パナソニックショップ」の約3割が、後継者難に陥っている実態が明らかになった。経営者の平均年齢は63歳に達し、今後5―10年で多数の販売店が事業承継時期に差し掛かる。事業承継が進まなければ、買い物難民らを助ける社会インフラといえる“街のでんきやさん”が激減する公算が大きい。パナソニックは店舗引き継ぎガイドを策定、2017年度下期から事業承継支援を本格化する。メーカーが資本関係のない系列店の事業承継に踏み込むのは異例だ。

 パナソニックが定常的に取引のある系列店8000―1万店を対象に実態調査したところ、2563人の経営者が商圏引き継ぎ意向を示した。一方、3497人の経営者が商圏引き受けを希望した。

 パナソニックは事業承継コンサルティング(東京都中央区)と組み、他店や従業員、親族など事業承継のタイプ別に「準備」「手順」「実行」までの流れを支援するマニュアルを策定した。事業承継には少なくとも5年程度を要するとみる。

 今後、北海道・東北、首都圏、中部、関西、中国・四国、九州の販売6ブロックにおいて、域内で後継者難に悩む系列店同士の仲介などを実施する方針。同時に個店別の成長戦略策定を支援し、地域の販売力を底上げする。

 系列店経由の販売額はパナソニックの国内家電部門の2割弱を占める。家電量販店の台頭によって、ピーク時に比べて1万店以上減少。毎月、廃業が報告されるという。超高齢化社会を迎える中、消費者が困った時にすぐ連絡できる系列店の存在感が高まるとみており、パナソニックは本格的な支援を始める。

 経済産業省・中小企業庁によると、今後5年間で30万人以上の経営者が70歳になるにもかかわらず、6割が後継者未定となっている。高収益企業の廃業を抑制し、世代交代を進めることは経済に好影響を与える。18年度に創業100周年を控えるパナソニックが直面している系列店の高齢化は、産業界の縮図といえそうだ。

【パナソニックショップ】パナソニックと商品取り扱い契約を交わした系列店。同社グループ製品だけでなく他社製品も取り扱っている。松下幸之助が自社製品拡販のために組織化した「ナショナルショップ」(通称)が前身。1983年のピーク時は2万7000店あった。現在は減少しているが店舗数では国内最大規模の家電販売網。

【ファシリテーターのコメント】
 家電量販店の出現により、役目を終えたかのように見られていた「街のでんきやさん」が今尚健在なのは、ワンストップサービスへの原点回帰だろう。超高齢化社会を前に、メーカーが資本関係のない系列店の事業承継支援への動きを見せるのは、この巨大ニーズのために他ならない。様々な業界でこの動きが活発化するであろう。
櫻井 八重