東レはリチウムイオン二次電池(LIB)用セパレーター(絶縁材)の生産能力を2020年頃までに現状比約5倍の年20億平方メートルに引き上げる方針を明らかにした。投資額は1200億―1300億円を見通す。生産を拡充し、急成長する車載用LIB需要を取り込んでいく。既存拠点の能力増強のほか、工場を持たない欧州や米国に生産拠点の新設も検討する。

 東レは日本と韓国でLIB用湿式セパレーターを生産し、民生用を中心に供給する。足元の生産能力は年約4億平方メートルとみられる。現在は韓国拠点で約80%の能力増強を実施しており、17年度末に年約6億5000万平方メートルまで引き上げる計画だ。

 20年頃の世界全体のセパレーター需要は今の1・5倍の35億平方メートル以上に急拡大するとみており、市場ニーズを満たすには増産が必要だと判断した。

【ファシリテーターのコメント】
 欧州のEVシフトで電池材料の投資競争が激しくなっている。主要4部材でも電解液は中国勢に席巻されているが、セパレーターはまだ日系メーカーの牙城だ。東レが強く意識するのも同じ日本メーカーで世界トップの旭化成だ。旭化成は2020年までに最大で年産15億平方メートルまで生産能力を拡大する方向で検討している。
 両社の違いは東レが湿式のみなのに対して、旭化成は湿式と乾式両面作戦を展開している点だ。パソコンや携帯電話で実績豊富な湿式が現状主流だが、投資負担が軽く低コスト化しやすい乾式が車載の本命との見方もある。2010年前後に自動車、電池メーカーの言葉に踊らされて素材メーカーが積極投資したものの市場が立ち上がらなかった「EVショック」は記憶に新しい。今度こそは夢が正夢になってくれるだろうか。
鈴木 岳志