14年ぶりに全面改良した大型トラック「日野プロフィア」は“疲れない車づくり”を合言葉に開発を進めた。衝突被害軽減ブレーキ「PCS」や車両安定制御システム「VSC」といった六つの安全装備をトラックに標準搭載したのは2014年。現状以上の安全性を追求しようと考えた時に解となったのが、ドライバーの疲労を軽減することで安全運転につなげる「ゼロ次安全」だ。

 長時間の運転になる大型トラックでは、体への負担軽減が重要となる。ドライバーの座り心地を高めるため、シートの高機能化に着目した。

 一般的なシートは座っていると尻の一定の部位に加重が集中してしまい疲労の原因になる。

 今回開発したシートは人間工学に基づき、肩甲骨や骨盤付近を面で支える構造にした。またクッションの長さを延長することなどにより、加重を分散して全体で支える設計にした。

 路面からの振動を抑えることも乗り心地を左右する重要な項目となる。下からの突き上げ感を伝わりにくくするために、キャブサスペンションの改良に力を入れた。

 細かい振動を減らすために、キャブ(運転席部分)を支えるエアベローズ(空気バネ)とキャブの剛性を保つトーションバー(ねじり棒式バネ)の最適な調整に時間を割いた。車両開発が本格化したのは14年だが、その1年以上前からキャブサスペンションの先行開発を進めた。

 ただ、どれほど疲労を軽減する車両づくりをしても、危険な場面に遭遇することはある。新型車両では、PSCの性能を向上させて停止車両や歩行者も検知する機能を追加。一定条件の下、時速30キロメートル以下で人を検知した場合に衝突回避を支援することができる。

 効率的な車両運用という観点から、車両情報を日野自に送る「ICTサービス」を初搭載した。トラックはユーザーによって使われ方が異なる。最適なメンテナンスのアドバイスをするためには、車両の使われ方を常に把握することが重要。

 センサーを取り付け、ターボ回転数やエンジンスターターの使用回数などを計測することで、整備が必要な時期を知らせるといった予防整備に役立てられる。


【ファシリテーターのコメント】
日野自が衝突被害軽減ブレーキ「PCS」を初めて搭載したのは06年。トラックの安全性向上にいち早く取り組み、安全面でのトップランナーと言われてきた。ただ、今回の新型車両では安全装備の機能向上にとどまり、新装置の投入はなかった。隊列走行など商用車にも自動運転の波が押し寄せている。安全技術で一歩先を行く日野自だからこそ、安全装備の次の一手に期待したい。
(日刊工業新聞第一産業部・尾内淳憲)
日刊工業新聞 記者