東京医科歯科大学統合研究機構の武部貴則教授らは、ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、肝臓と胆管、膵臓(すいぞう)から構成される「ミニ多臓器」の作製に成功した。複数の連結した臓器を連続的に発生させ、最大で1ミリメートル程度の大きさにまですることができた。iPS細胞から多臓器を作製するのは世界で初めてという。再生医療や臓器形成の研究などに応用が期待される。成果は26日、英科学誌ネイチャー電子版で発表される。

 受精卵からさまざまな臓器や組織ができるが、肝臓、胆管、膵臓は原始的な腸「原腸」から作られることが分かっている。特に、前腸と呼ばれる部分と、隣接する中腸との境界からこれら三つの臓器が発生する。

 武部教授らは、臓器の発生過程を再現し、iPS細胞から複数の臓器を連続的に作製した。具体的には、iPS細胞から前腸と中腸を別々に作って連結させ、適切な条件下で培養した。その結果、前腸と中腸の境界部分から肝臓、胆管、膵臓の前駆細胞が自発的に誘導された。

 これまでに武部教授らはiPS細胞を使ってミニ肝臓を作ることなどに成功している。しかし、胆管が詰まって肝臓が壊れる疾患や遺伝性の疾患の場合、肝臓のみを再生医療で治療するのは効果が限られてしまう。

 武部教授は「単一の臓器のみでは体内に移植しても恒久的には機能しないが、ミニ多臓器による再生医療は数十年の効果が期待できる。10年以内に患者へ投与できるよう研究を進める」と話した。