朝食代補助で食生活改善

事故などで破損した自動車の買い取り・販売のタウ(さいたま市中央区、宮本明岳社長)は、社員の健康を守り多様な人材が活躍するための改革に取り組んでいる。2020年には経済産業省の「健康経営優良法人ホワイト500」に2年連続で認定された。20年から長時間勤務の抑制や在宅勤務などを推進する。管理部門の社員が営業活動するなど部門をまたぐ働き方も特徴で、生産性向上につながっている。(さいたま・阿部未沙子)

タウでは社内の平均年齢が上がるとともに、がんなど三大疾病を患う社員も出てきた。そこで16年1月に健康管理課を立ち上げ、社員の健康管理に力を入れている。同課には社員兼看護師1人を置く。

社員の健康に関する課題の洗い出しを実施する中で、自分自身の健康にあまり関心がない社員層の存在を発見した。滝川梨詠子総務部長は「主に30代の男性社員にそうした傾向があった」と話す。

そのため社員の健康に対するリテラシー向上のための「健康ニュース」を月1回配信。ぎっくり腰や花粉症といった身近な話題などを提供している。さらに社員の食生活改善のため取り組んだのが、朝食代の補助だ。深夜残業を減らす狙いもあり、早朝に出社した社員には朝食代を補助する制度を18年4月に導入した。

社員の健康意識を高めると同時に、有給休暇取得の促進や長時間労働の是正を盛り込んだ「働き方改革キャンペーン」を20年12月から本格的に実践する。藤久拓也取締役は「(開始から)1カ月目としては、まずまずの効果が出ている」と手応えを感じている。

同社は時間外労働の抑制には生産性向上が不可欠とみる。そのために実施しているのが年1回の業務の棚卸しだ。棚卸しの際にシステム化が可能かどうかを検討。その成果として仕入れた自動車の不正の有無を検査する過程をRPA(ソフトウエアロボットによる業務効率化)に置き換えた実績がある。

また、女性社員が多く在籍する同社では性別を問わず活躍できる場を積極的に提供している。20年9月末時点で全社員のうち42%が女性だ。管理部門など営業活動に一見関係がない部署に所属する社員も自ら稼ぐことを意識している。

例えば人事部に所属する女性社員が営業先の企業などを訪問する場合もある。営業担当者以外の社員が顧客を訪ねることで信頼関係の構築に貢献する。全社員が営業に関与する意識を持つことで、生産性向上につなげるという考えだ。

人事部の女性社員が営業活動することもある(タウ提供)

ほかにも時短勤務やフレックス制度などの制度を整えている。滝川部長は「育児をしながら働く社員が多いため、仕事と育児を両立する意識が自然と醸成される環境があると思う」と説明する。

今後は「働き方改革は収益や生産性向上に最終的に結びついてないと意味がないと考える。女性の活躍などをより一層推進していきたい」(藤久取締役)としている。