地方の企業、産地を支える―。コロナ禍で苦しむ地方企業を支援する取り組みが広がっている。リクルートは副業人材と地方企業を結びつける「ふるさと副業」を展開。オンワードホールディングス(HD)は自社の通販サイトを活用し、繊維などを手がける地方の生産者らが直接消費者に販売する「DツーC」の事業を始めた。人材不足・販路開拓に悩む企業の活性化を促し、地方に活力を届ける。(編集委員・大友裕登)

リクルート、副業人材仲介

リクルートはマッチングサービス「サンカク」を手がけており、この中で「ふるさと副業」を展開している。

サンカクは企業が事業課題に関するテーマを掲げ、興味を持ったユーザーがディスカッションを重ね、課題解決のアイデアなどを提示していくサービス。ここでの接点を機に副業・兼業につながるケースもある。2014年にサービスを開始、21年5月時点で登録ユーザー数は累計約5万9000人、社会人のインターンシップのサービス利用企業は延べ約370社にのぼる。

地方にとって、サンカクのふるさと副業への期待は大きい。8月に行われた石川県主催のオンラインマッチングイベント。コロナ禍で地域経済が厳しい中、新たな活力を呼び込もうと参加者に魅力を訴えたほか、地元企業の経営者と参加者の間で活発な討論が行われていた。

リクルートの古賀敏幹「サンカク」事業責任者は、「ぜひ一歩踏み出してほしい」と企業に利用を促す。「一歩踏み出した企業で、大きく会社が変わった事例も出てきている。経営者の方は勇気を持って、新しい人材活用にトライしてほしい」と力を込める。

サンカクでは、企業が示す課題の設定をサポートしている。参加者にとって関心を引くテーマを準備することで、企業と参加者が活発に議論し合える場を用意し、実りある出会いにつなげる。

オンワード、衣類直販サイト提供

オンワードHDの子会社オンワードデジタルラボ(東京都港区)は、衣類などを手がける生産者が消費者に直接販売できる事業「クラハグ」を立ち上げた。ファッション通販サイト「オンワード・クローゼット」を通じた直販を可能にするほか、販促支援やブランドづくりの支援も行う。コロナ禍で打撃を受けたアパレル業界。自社商品を直接販売する機会の提供により経営の安定化を促し、産地の活性化を狙う。

事業としての売り上げだけではなく、新たな価値の提供、社会貢献の側面もある取り組み。目指すのは持続可能なモノづくりだ。

8月末からサイトでの販売を開始。スタートは12の工場が参画し、初年度には25の工場に引き上げる計画だ。可能性を求めて、ともに発展を目指す“仲間づくり”に力を注いでいく。