クレディセゾンは2017年、全社員共通の人事制度を導入し、アルバイトを除く全員を正社員化した。主力のクレジットカード事業の有人窓口の専門職社員約1400人と、パートのメイト社員約800人が正社員になり、新たなキャリアを歩む人も出ている。19年には社内ベンチャー制度を始め、新規事業創出に動きだした。カード事業の大幅な成長が見込めない中、新たな成長分野に踏み出そうと社内活性化を進める。 (戸村智幸)

全社員共通人事制度では、総合職社員、専門職社員、メイト社員を正社員に一本化し、「役割等級」という評価制度に基づき、同一労働同一賃金を実現した。役割等級により、本人に期待する役割や行動に応じて等級と処遇を決める。長谷川博一戦略人事部長は「一人ひとりの能力や強みを生かし、頑張った人にはチャンスを与える」と趣旨を説明する。

専門職社員は商業施設に設置した有人窓口「セゾンカウンター」での顧客対応など業務内容が限定されていた。1年更新の有期雇用のメイト社員も業務内容が狭かった。

正社員化にあたり、戦略人事部は本人たちへの説明や研修を丁寧に実施した。いわゆる総合職の役割を担ってもらうため、目標設定などにより、チャレンジ精神を持ってもらう狙いがあった。

旧専門職社員も各部署への異動の対象となったことから、本人の希望によって異動するケースが出ている。ある社員はITに興味があることを社内資料に記入したことがきっかけで、情報システム部門に異動して活躍している。正社員化により、キャリアの幅が広がった好事例と言える。

社内ベンチャー制度「スイッチセゾン」では、事業化に向けて体制を手厚くした(19年度=クレディセゾン提供)

正社員化の次に取り組んだのが、社内ベンチャー制度「スイッチセゾン」だ。従来も社内公募制度はあったが、事業化に至る事例はほとんどなかった。新制度では年2回応募機会を設け、採択されれば予算を用意し、応募者は関連部署に異動するなど事業化に向けて体制を手厚くした。

これまでに約1000件の応募があり、5件が採択された。その1件は、旧メイト社員出身者が応募した。テーマは女性の課題などを技術で解決する「フェムテック」に関するサービス開発だ。現在は社内で女性社員向けに実証中で、事業化を目指している。

その社員は正社員となった後、何かに取り組みたいと思って、スイッチセゾンに応募したという。面識のなかった管理職が相談相手になるなど人間関係が広がり、会社への関心が高まったそうだ。

スイッチセゾンの今後について、長谷川戦略人事部長は「収益にインパクトを与えるぐらいの事業としたい」と意気込む。そのために、応募者のプレゼンテーションなどのスキル向上の支援をいっそう進める。アイデアはあるがスキルに不安がある社員の応募を促す狙いだ。そうしたケースは、専門職社員とメイト社員出身者に多いとみられる。出身区分を問わず、社員の幅広いアイデアを拾い上げ、新規事業創出につなげる。