自動車関連企業がコロナ禍で常態化したオンライン研修で工夫を凝らす。いすゞ自動車はメカニックの整備技術を競う社内の世界大会で使うオンライン競技専用システムを独自開発。マレリ(さいたま市北区)は海外工場の従業員を対象とする研修内容を見直した。コロナ禍で企業活動が制限を受けるようになって約2年。当初は緊急措置として実施したオンライン研修だが、高い効果を上げようと積極活用する動きが広がる。(日下宗大)

いすゞは2021年11月末にオンラインで開催したメカニックの世界大会「I―1GP」に合わせて、競技専用システムを新たに開発した。

同大会は世界各国からメカニックが国内の研修施設に集まって実施してきた。しかしコロナ禍で海外渡航が難しくなり、20年の第15回大会からオンライン方式に切り替えた。この時は既存のeラーニングシステムを使って乗り切った。ただ容量制限で画像を豊富に使えないなどの限界があり、「不満が残った」(いすゞの研修担当者)。

そこで21年に入って本格的に独自システムの開発に着手した。「メカニックの目線に近付けるように」(同)改善。実車での整備作業に近い形で競技課題を出し、選手が解答できるようにした。

例えば、従来は車体の点検箇所を解答する競技ではボタン選択しかできなかった。新システムでは自由度を高め、パソコン画面に映し出された車体を競技者が、マウス操作で360度回転し点検箇所を探索できるようにした。同社は新システムを大会だけでなく、普段の研修でも使っていく考えだ。

マレリは、ロシア市場に進出した企業を支援する経済産業省の事業の一環で、17年から現地子会社の従業員を日本国内の工場に招き研修してきた。コロナ禍では日本でのリアル研修を断念し、20―21年と2年連続でオンラインで実施した。

ただ内容は進化させた。20年の研修はマレリが世界共有に定める生産マニュアルの解説など「業務への心構えを説くようなメニューが中心だった」(マレリの研修担当者)。一方、21年はコミュニケーションを活発化する狙いなどから「現場の話に焦点を当て」(同)るなど工夫。参加した現地従業員12人との議論を活発化し、実際の生産での困りごとを解決するヒントを得られるようにした。

コロナ禍で国境を越えた人の行動に制限がかかる状況は今後も続きそうで、人材育成の観点でもオンライン研修の重要性は増している。企業には実施回数を重ねながらシステムや研修内容を磨き上げていく姿勢が欠かせない。