大企業の環境対策を評価する非政府組織(NGO)の英CDPは、2022年から日本の調査対象をプライム市場上場の全1841社に拡大すると表明した。現在の500社から3倍以上に増やし、上場企業に気候変動関連の情報開示を促す。生物多様性の取り組みを聞く質問も導入する。ESG(環境・社会・企業統治)投資の環境情報として定着したCDPの調査方式の変更は、日本企業に大きな影響を与えそうだ。(編集委員・松木喬)

CDPは大企業に環境対策を聞く質問状を送り、回答を採点して公表している。世界590の機関投資家がCDPの活動を支持しており年々、影響力を強めている。21年は世界1万2000社が回答し、気候変動対策の最優秀「Aリスト」に203社を選んだ。日本からはトヨタ自動車や日立製作所、ソニーグループなど56社がAリスト入りした。

CDPジャパンは19日に開いた21年の結果報告会で、東京証券取引所が4月に開設するプライム市場の全上場企業を対象にすると明らかにした。これまでは格付け機関や株価指数から対象を500社に絞ってきた。1841社に広がると、対象外だった企業にもESG情報を投資家に発信するチャンスができる。また、発信の経験がない大半の企業には開示の契機となりそうだ。

回答のハードルは上がる。追加される生物多様性の質問は取締役会の役割や目標設定、行動、事業活動の生態系への影響、情報開示など。国際会議で気候変動と生物多様性の課題解決を一緒に議論する流れがあり、CDPは質問に加えた。CDPジャパンの森澤充世ディレクターは「すでに対象となっている企業にも回答は難しい」と見通す。

報告会によると日本の対象500社のうち、21年は71%の354社が回答した。日本のAリスト56社は国別最多で、2位米国の30社を引き離した。一方、回答数では日本は米国や中国などに続く5位。優秀な企業が増えている実情に合わせ、日本の調査企業を大幅に増やす。

CDPは企業の気候変動対策の情報を投資家に提供することを目的として00年に設立。日本企業は10年代初めからCDPの評価を意識するようになった。14年からAリスト選出の社長が報告会に駆けつけて謝意を述べる光景が定番化。報告会では岸田文雄首相もメッセージを寄せた。

プライム市場は東証の新たな最上位市場。上場企業には豪雨や猛暑などの自然災害が経営に与える気候リスクの開示が求められている。CDPの回答、気候リスク開示とも義務ではないが上場企業には開示圧力が強まる。