ダイキン工業は雇用延長で常に産業界の先陣を切っている。2001年には65歳まで引き上げ、65歳以降も会社が選ぶ対象者を雇用する制度改革に踏み切った。21年4月からは原則的に70歳に伸ばした。人事本部ダイバーシティ推進グループの池田久美子担当部長は「60歳定年時の再雇用率は9割を超える。70歳までの雇用が法定義務になるのも目に見えているので、世に先んじてきた」と説明する。

コロナ禍で世界経済が悪化する中でもあえて推し進める理由には「経営トップの強い意思がある」(池田担当部長)。経営陣にはダイキンがリーマン・ショック後に急成長し空調で世界トップに立てたのは、ベテランが世界で頑張ってきたからという思いが強い。このベテランの力をこれからも最大限に生かそうというのが、人材活用の柱となる。バブル経済期の大量採用で30年度には4人に1人が56歳以上を占める見通しもある。「ベテランの活躍推進は必須」(同)と位置付ける。

実践では経験や技能の取り込み、意欲の喚起、時代に即した制度設計などを重視する。例えばベテランをデジタル技術に強い若手と組ませ、開発の効率化や技能の標準化に結びつけている。貢献度で評価レベルを細分化し、高いほど賞与を増やす仕組みも導入した。勤務体系はフルタイムと個人の事情に合わせる二つを設けた。60―65歳には人生設計から希望の職場、貢献したいテーマなどを1日かけじっくり対話する研修を繰り返している。

退職年金制度は21年6月に確定拠出年金へ完全移行した。投資教育をしっかり実施し、労働組合も同意。65歳以降は1年ごとの雇用契約とする点も組合交渉の難航を予想したが、対象者も健康などに不安があるため、その都度決める制度はむしろ歓迎された。多様な柔軟性を採り入れながらも業績重視で働くダイキンの“モーレツ社員”はどの世代も成長の原動力だ。