男性の育児休業取得率は近年上昇しているものの、女性との差は依然大きい。政府が目標に掲げる30%の達成にもほど遠い。企業の生産性や業績への影響が懸念されるなど男性の育休を阻むいくつかの要因がある。制度の活用と見直しといった官民それぞれの積極的な対応が男性の育休取得率向上のカギとなる。(幕井梅芳)

厚生労働省の「2021年度雇用均等調査」(22年7月)によると、男性の育休取得者は13・97%と20年度より1・32ポイント上昇した。しかし、女性の育休取得率は85・1%と、男女間の差は大きい。また育休の取得期間について、男性では2週間未満が全体の7割なのに対し、女性では6カ月以上が全体の9割を占める。

なぜ男性取得が進まないのか。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(19年2月)によると、男性の3割が育休取得を希望している。

このうち1割が育休を実際に取得したものの、6%が会社に制度がないため取得できず、12%は会社に制度はあるものの何らかの理由で取得できなかった。制度があっても取得できなかったのは、男性育休に前向きでない経営層などがいて、企業内で取得しにくい雰囲気があるのが背景とみられる。

男性の育休取得にはいくつかの条件が必要だ。まず取得したいという本人の意思。3割の人が育休取得を希望していることから、上昇の余地はある。次に制度が整備されていること。最後に企業の雰囲気や上司の理解だ。企業にとっては男性の育休取得によって生産性が低下し、利益減少につながりかねないという懸念がある。

この懸念こそが男性育休取得の最大のハードルだ。労働政策研究・研修機構の「男性労働者の育児休業の取得に積極的に取り組む企業の事例」(20年9月)によると、企業への影響はプラスとマイナスの両面がある。例えば、仕事の進め方が効率化され、生産性が高まっていくと企業業績にプラスに働く。一方で人手不足になれば企業業績にマイナスに働く。効率的な働き方を進め、生産性を高めていけるかがカギとなる。

企業や政府は何をすべきか。企業は4月から義務化された「育児休業制度の周知と育休取得意向の確認」を、新たに子どもを持つ従業員に対して徹底することが求められる。その前提として、育児休業制度を整備しておくことが重要だ。

中小企業でも育休を取得しやすくするためには、育休を取得する従業員の企業を支援する「両立支援等助成金」について、政府による受給条件の緩和が求められる。企業の男性育休に対する不安を取り除くため、男性育休が企業業績に及ぼす影響を調査、公表することも必要だ。

中長期的には、産後パパ育休(出生時育児休業)について、育児休業給付の給付率を現行の67%から80%程度に引き上げることだ。さらに育児休業制度正規雇用者に限定せず、非正規雇用者にも適用する。こうした不断の見直しが育休取得率向上の原動力となる。