地方銀行で、従業員の企業に対する信頼度・愛着度を指す「従業員エンゲージメント」を可視化する動きが、広がっている。外部の測定・解析ツールを用いるなどして、従業員エンゲージメントを”見える化”。銀行の経営方針と従業員ひとり一人の想いを擦り合わせる狙いだ。地銀は人口減少や資金需要の低下などで経営が厳しさを増しており、若手の離職も経営課題となっている。こうした課題を解決する1つの手段として、従業員エンゲージメントが注目されている。

北国フィナンシャルホールディングス(HD)は、エモーションテック(東京都千代田区)の従業員体験マネジメントサービス「EmotionTech EX」を導入した。今後北国フィナンシャルHDは、同サービスを活用した従業員エンゲージメント調査の継続的な実施と改善サイクルの定着を行う。さらに、北国フィナンシャルHDは2022年に発表する統合報告書から、従業員エンゲージメントをスコア化した「eNPS」も開示する。

調査を実施する理由について同社は、「企業理念を実現するためには、働きがいやスキルの向上はもちろん、社員と会社が対等で方向性・組織と社員の成長のベクトルを一致させていくことが必要であると考えている」と回答した。また、社員組合による満足度アンケートは以前から行っていたが、「管理職からパートタイマーまでを含めた全社員の想いを把握し、自社として優先的に取り組むべき課題を適切に把握する必要性が高まったことも要因」(同社)としている。

今回、社員が「キャリアプランが具体的に描ける」かどうかについて調べたところ、現状と大きなギャップがあり、キャリアプランを描きづらいことがeNPSのスコアを押し下げている主な要因であることが分かったという。

九州フィナンシャルグループ(FG)は、2023年度を最終年度とする第3次グループ中期経営計画で「人づくりとエンゲージメントの向上」の実現を掲げる。同社は2021年8月に、グループの全従業員向けに定期的なエンゲージメント調査を始めた。

九州FGは、アトラエの従業員エンゲージメントを可視化するツール「Wevox」活用している。具体的には自己成長や組織風土などの項目で自社のスコアと業界平均を比較・分析した上で、強みや弱みを把握。従業員一人ひとりの働きがい・やりがいをより高める職場環境作りを進める。

伊予銀行は2021年3月に、全従業員を対象にWevoxを試行導入した。 同行は従業員エンゲージメント調査を基に、各職場でのミーティングなどを通じ、組織力強化や業績向上につなげていくことを目指している。

この他の地銀では、千葉興業銀行が従業員満足度(ES)向上による組織力強化を目指し、「エンゲージメント・ES ナンバー1」を宣言。愛知銀行はES(従業員満足度)向上を目的に、行員全員を対象とした「ESアンケート」を実施。部長や支店長を対象に部下からの評価を行う「180度フィードバック制度」を導入している。