研究大学コンソーシアム(RUC=ラック)は研究の企画戦略を全国の大学連携で行う「MIRAI―DX」を本格化した。自然科学研究機構(NINS)をハブに、研究支援のリサーチアドミニストレーター(URA)が各大学の強みを持ち寄り、異分野融合の共同研究を実践する。研究者情報のシステムや共同利用・共同研究の仕組みで効率化する。研究や資金獲得の力を高める新方策として注目されそうだ。(編集委員・山本佳世子)

RUCはURA育成の文部科学省事業を土台とし、研究大学など40弱が参加する。MIRAI―DXでは学内をよく知るURAが、研究者や研究資源の情報を持ち寄り、共同研究の企画や研究者のグループ化などを行う。運用法を東京工業大学、東北大学、京都大学などで議論してきた。

第1弾はポスト・新型コロナウイルス感染症で実施した。36大学のURAから推薦された研究者は113人。URA同士、研究者同士などオン・オフの面談を経て、25人が共同研究に向けて前進した。このうち情報セキュリティーは高エネルギー加速器研究機構のURAが企画。情報科学、人工知能(AI)、認知科学、公共政策、哲学などの研究者の連携が実現した。

参加機関の研究者は約5万人、論文は20万件以上ある。現在、これらのデータをテキストマイニングで分析するシステムを整備中だ。「これにより各大学・各研究者の強みやスキルを見える化し、URAが組み合わせる手法が有望だ」とRUC幹事機関、NINSの小泉周特任教授は強調する。分野は文理融合の環境・エネルギーなどが候補だ。

NINSなど大学共同利用機関は、共同研究に適した研究室や計測機器、モデル動物などを持つ。この資源を使い、新チームのメンバーが集まりお試し実験をする「オープン・ミックス・ラボ」を動かす。文科省が地域・中核大学支援として、2023年度予算で概算要求する「学際領域展開ハブ形成プログラム」と重なりそうだ。

URAの活動は近年、各大学で浸透したが、大学間の研究費獲得競争が激化する一方、国際社会における日本全体の研究力は低下している。RUCでは組織を越えた新分野創出で、産業界や海外から新たな資金を呼び込む期待をしている。

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