記者の目/ここに注目
□大型部品加工からロボットSIer事業まで幅広く事業展開
□多種多様な職種から自分の輝ける仕事を探せる
東海機械製作所は大型の機械部品や機械装置の製造を手がける。トンネルを掘削する巨大なシールドマシンの部品をはじめ、“Bigなモノづくり”の豊富な実績を誇る。これらの仕事は縁の下の力持ちとして、目には見えない形で社会を支えている。
例えば、いまや生活の必需品であるスマートフォンを作り出す過程にも、東海機械製作所の技術が生きている。スマホの構成部品として欠かせないのが電子基板だが、これを製造するための産業機械の部品は東海機械製作所の主力だ。また、近年はタイでロボットシステムインテグレーター(SIer)事業を継承。製造現場の自動化も手がけている。
時代に沿って事業内容が進化

近藤 盛仁さん
東海機械製作所の強みはスケールの大きな事業展開にある。加工対象の大きさもさることながら、中国とタイに築いた海外2拠点にまたがるグローバルな活躍、さらには大型部品の溶接から機械加工、組み立てまで一貫生産できる点などで存在感を発揮している。愛知県内の中小企業で大型部品の溶接や機械加工のみを請け負う企業は少なくないが、大型部品の組み立てまで一貫生産できる企業は数えるほどしかないという。加えて大型部品や機械装置の設計も手がけられる中小企業となると、東海地方でも貴重な存在だ。この強みを活かした自社ブランドの機械装置は国内外に多くの納入実績がある。
こうした幅広い事業展開を可能にしてきたのが、時代のニーズへ柔軟に対応する企業姿勢だ。75年にわたる東海機械製作所の歴史は造船産業から始まった。時代は下って同産業のピークが過ぎると、培った大型部品加工のノウハウを受け継ぎつつ、これを活かして先端分野の半導体産業に参入。現在は半導体産業で使用される産業機械のベース部を主力としている。
同部品は一般的に大型に分類されるが、超大型部品の経験が豊富な東海機械製作所にとっては中型程度。従来の仕事で使用してきた加工可能範囲8メートルの5面加工機に同部品を三つ並べて加工し、量産する方法を編み出した。
一方でこのベース部に、最小で約2ミリメートル角という多数の部品を組み付ける作業も手がける。ネジを一つ締めるごとにガイドの直進性を厳密に計測しながら組み立てる。得意な技術を軸に新たな技術を習得し続けることで、幅広い産業の顧客を開拓している。

広い視野で楽観的に挑戦を
新入社員はビジネスマナーなどの外部研修を経て現場を体験し、適性を見極め部署配属される。配属後はクレーン操作や溶接など、各部署で必要な資格を取得。そのための実技練習は各部署が支援する。
どの部署でも「これしかできない」と固執することなく、なんにでも柔軟にチャレンジする人材が求められる。仕事内容はダイナミックな大型部品の加工から精密な部品組立まで幅広い。設計業務もあれば海外勤務もありと、多様な活躍の可能性に満ちている。そのため、最初に配属された部署で伸び悩んでも問題はない。
「部署を変わって急に輝き出す例もたくさん見てきた」と近藤盛仁社長は振り返る。「楽しく仕事をしてほしいし、自分が一番輝ける仕事を見つける後押しをしたい」(近藤社長)と熱意を語る。
社員からも一昔前の“背中を見て覚えろ”といったやり方を意識的に排し、丁寧に教えようという思いを感じるという。「自分はどちらかと言えば運がいい方だと考えているような、少し楽観的なくらいでいい。ピンチの時も『こうすればうまくいくかも』と、切り抜ける方法をひねり出そうとする姿勢が大切だ」(同)と笑顔を見せる。
当社ではここ最近、製造部においても女性の活躍が目立ってきている。
今後はさらに新しい取組みを加速し、誰もが働きやすい環境に会社を進化させていく。最近では、大型機械工場にエアコンを完備したことで、夏も冬も適性温度で仕事ができて働きやすい工場となった。また、一部の部署ではDX技術を活用しタブレットを導入したことで教育を簡素化している。
理系出身の若手社員に聞く
機械加工の意外な楽しさを知りました

(2016年入社、 岡崎工業高校機械デザイン科卒業)
産業機械のベース部を加工する機械オペレーターの仕事をしています。もともと興味があったのは溶接でした。在学中の職場体験で東海機械製作所を訪れ、溶接技術を教えていただいたのが入社のきっかけです。みんな優しく、親しみやすかったのが印象的でした。
入社後は溶接を担当してきましたが、ある時お客様の製造現場に応援で入り、機械加工を体験しました。苦手意識を持っていた機械加工でしたが意外に楽しく、お客様も応援期間を延長してくださいました。戻ってからは機械加工チームへの異動を希望。どの部署の先輩もできるようになるまでていねいに教えてくれます。
会社DATA
本社所在地 愛知県岡崎市藤川町字北荒古32
設立 1953年4月
代表者 代表取締役社長 近藤 盛仁
資本金 5000万円
従業員数 109名
事業内容 油圧機械ならびに周辺機器の設計・製作、大型産業機械の受注・製作、電子機器関連部品の受注・製作、船舶用機械の受注・製作、大型精密切削加工および研磨加工、一般産業機械および部品の製造
URL http://www.tokaikikai.co.jp/