コンタクトレンズ各社が老眼向け遠近両用レンズ市場に熱い視線を送っている。1枚のレンズで近くから遠くまで鮮明に見えるもので、潜在需要が大きい。日本アルコン(東京都港区)は付け心地にこだわった新製品を投入し、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は豊富なデザインで最適な商品を提案するなど、市場開拓に取り組む。
老眼を治療
「老眼を治療できるチャンスが増える」。日本アルコンのフィル・ニコルズビジョンケア事業本部長は、こう力を込める。

 新製品「デイリーズトータルワン遠近両用」は、近・中・遠距離に適した3種類の度数を一つのレンズに搭載。また、レンズの中心は酸素透過性が高く、レンズの表面は含水率の高い独自の構造により快適な付け心地を実現した。「コンタクトレンズが煩わしくてやめる人にも、ぜひ使い続けてほしい」(ニコルズ本部長)という自信作だ。
 
 遠近両用レンズでは各社が特色を打ち出している。J&Jの「ワンデーアキュビューモイストマルチフォーカル」は“セミカスタマイズ性”が特徴だ。

 年齢や度数で大きさが変わる瞳孔に着目し、171種類ものレンズ設計により一人ひとり異なる瞳孔径に対応する。遠近両用レンズは通常、患者に合うレンズを探すのに時間がかかるが、「処方の成功率を高めている」(ビジョンケアカンパニー)。

ニーズに対応
 またメニコンは2週間交換タイプのソフトレンズ「プレミオ遠近両用」、ハードレンズ「メニフォーカルZ」をそろえる。「今後も使い捨てタイプを中心にラインアップの追加を検討していく」(経営統括本部)という。

 シードも遠近両用として、1日使い捨て・2週間交換タイプのソフトレンズのほか、ハードレンズでも度数の違う3タイプを用意した。「見えづらさも人によって違う。ソフト・ハードを含め、多様なニーズに対応したい」(経営企画部)とする。

 2016年の国内コンタクトレンズ市場は前年比0・3%減の2147億円と、ここにきて成長率が鈍化傾向にある。人口減による新規使用者の減少や40―50代を境に装用をやめるユーザーが多いことが要因だ。

伸びしろ大きく
 だがJ&Jの調べによると、使い捨てレンズの利用者で老眼の自覚者は約500万人。そのうち遠近両用レンズの使用者は40万人程度という。裏を返せば、「これからのカテゴリーで伸びしろが大きい」(ビジョンケアカンパニー)といえる。

 日本アルコンのニコルズ本部長も「良い技術を提供して患者の認知度も上がってくれば、あたかも全く新しい市場ができる」と期待している。

(編集委員・村上毅)

【ファシリテーターのコメント】
コンタクトレンズ市場が鈍化しているのは意外でした。若い女子のカラコン率がものすごく上がっているので…。
スマホやタブレットの普及で手元を見る機会も10年前に比べ格段に増えています。遠近レンズの需要はさらに高まりそうです。
昆 梓紗