ブリヂストンスポーツ(東京都港区、楳本富男社長)は、自社運営の店舗において、ゴルファーのスイングの“くせ”を分析して、適したゴルフクラブを提案するシステムを稼働している。システム構築では、モニターとしてゴルファー数百人規模にわたるの動きのデータを分析し、共通する特徴や要素を割り出した。システムの前で3回スイングすると、くせを画面に表示する。従業員のみによる提案よりも的確で、口コミで利用者も増えているという。

 クラブフィッティングシステムは、現在東京をはじめ、全国五つの店舗などで展開している。2015年に稼働を開始した。

 ユーザーはクラブにモーションセンサーを取り付け、所定の場所で3回スイングする。ゴルファーの振るフォームをカメラでも撮影し、センサーで得たデータと合わせて計算。弾道のほか、「クラブの入射角」や「ボールに上から当たるか、下から当たるか」「スイングの軌道差」や「シャフトのしなりが戻るタイミング」「ヘッドがボールに当たる角度」などを分析して、スイングの特徴をつかみ、モニターに表示する。

 システムは、5年以上をかけて同社とブリヂストンの中央研究所が共同開発。300―400人のゴルファーのデータを集めるため、センサーなどの計測機器を持ってゴルフ練習場に赴き、ゴルファーに声をかけて、特徴の異なるクラブを試打してもらった。

 こうして集めたデータから、ボールやクラブの動き方と、ゴルファーの体の動き方の相関関係を探索。埼玉県秩父市の研究開発部署と、店舗に在籍するフィッターと呼ばれる従業員らが協議しながら進めた。

 「動きのどの部分を見るべきか、ゴルファーに共通する特徴は何かの見極めに長い期間を要した」(基礎技術開発部の石川達也氏)という。

 開発の背景には、顧客囲い込みの戦略がある。以前からフィッティングシステムはあったが、試打をもとにヘッドスピードやボールの飛ぶ速度をもとに弾道をはじき出すのみ。なぜそうした弾道になるかまでは分析できていなかった。

 新システムでスイングした結果とフォームを表示することで、ユーザー各自のくせを見える化する。「ゴルフ上達への道筋が、従来よりわかりやすくなった」(マーケティング本部の奈木野陽介氏)。

 取り込んだゴルファーのデータをもとに、特徴の違うシャフトやヘッドで打った場合のシミュレーションも可能なのもシステムの強みだ。

 実際シャフトとヘッドの組み合わせは7000通り以上にも及び「1本ずつユーザーが試すのは非現実的。システムならすぐ割り出せる」(石川氏)。体験者の満足度は高く、「一度体験したユーザーが再び利用することも多い」(奈木野氏)という。

(文=山田諒)


【ファシリテーターのコメント】
今後の展開について、石川氏は「より演算精度を高めていく必要がある」とし、改良に余念がない。6日に東京都千代田区に開いた新店舗にもこのシステムも完備した。
(日刊工業新聞第一産業部・山田諒)
日刊工業新聞 記者