JR東日本は10月5日、新観光列車「海里(かいり)」を新潟・庄内地区に投入する。4両編成のハイブリッド気動車を新造し、新たな車内サービスを展開。車窓から眺める景観と地域の美食を楽しめるダイニングが特徴だ。観光列車は地域への誘客とともに、全国に魅力を訴求するコンテンツとして地域振興に貢献する役割を担っている。

 海里の運行は10月から新潟・庄内を対象に始めるJRグループの共同キャンペーン「デスティネーションキャンペーン(DC)」に合わせた。食を通じて地域を知るという“日本海美食旅〈ガストロノミー〉”をテーマに掲げた、今回のDCの目玉の一つでもある。

 全国の鉄道会社では車窓を楽しみながら食事するレストラン列車の運行が盛んだが、その多くは旧型気動車の改造だ。ハイブリッド車の海里は、初速が電池駆動のため、発車がスムーズでホームに煙を出さない。架線のない線区でも走行でき、設定区間の新潟―酒田間に限らず、秋田への延伸や、他線区での臨時運行も見据える。

 リクライニングシートの1号車と4人がけ半個室の2号車は座席指定車だが、4号車のダイニング車両は、食事をセットにした旅行商品として販売する。菊地隆寛運輸車両部車両技術センター所長は「革張りのシート、ガラスのテーブル。素材感を出して食堂らしい雰囲気を演出した」と出来栄えに満足する。

 旅行商品では新潟の老舗料亭による日本料理や庄内の食材を使ったイタリアンを提供。途中、鶴岡駅では駅前の専用待合室で休憩、桑川駅では20―30分ほど景勝地の笹川流れを散策できる。このため海里には食事や売店を担当するアテンダントに加え、降車時に乗客を引率するスタッフ「アンバサダー」が乗車する。

 JR東は7月に約1800人を抱える車内サービス専門会社「JR東日本サービスクリエーション」を発足させた。「より魅力的な移動空間を提供する」(深沢祐二JR東社長)として、訪日外国人対応やオンデマンド型車内販売など新たなサービスを検討。アンバサダーも、その一つだ。沿線の魅力紹介や、乗客のリクエストにどう応えるのか。今後の観光列車や新幹線でのサービス展開にもつながる。

 3号車には自然の風を取り入れられるよう窓を開閉できる広いイベントスペースを確保した。河野哲也新潟支社新潟県・庄内エリアDC推進室室長は「海里を地域がどう生かしてくれるかが重要だ」と話す。観光列車は投入して完成ではない。観光による地域活性化を狙いに、地元とともに育てていく取り組みがこれから始まる。

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