今年の夏は全国各所で気温が35度Cを超える猛暑日が記録された。気象庁などの予測でも気温は全国的に平年を超える暑さとなる見通し。夏に売れるビールや飲料はもちろん、暑さで加熱調理が敬遠されるため電子レンジ対応の冷凍食品や総菜・サラダ食品などにも追い風だ。

 暑さで伸びている商品は飲料以外にも多い。エアコンが効いた台所で料理する場合は、作っている間の加熱をいかに減らすかもポイントになる。キッコーマンのめんつゆ「具麺」はめんつゆにそぼろ肉、大根おろしなどを入れた商品。

 肉料理などを別に作る必要がない。暑さで疲れて帰宅し、すぐに食べたいという時短ニーズに加え「フライパンなど火を使わないで済むことが女性らに受け入れられている」(同社)という。

 つゆにつける乾めんをゆでれば時間もかかるし部屋も暑くなるが、「うどんも最近はレンジ解凍で食べられる冷凍うどんに需要が移ってきており、この伸びと具麺の伸びが一緒になっている」(同)。

 味の素は冷たい牛乳でつくる「クノール」スープが好調。もともと温かい商品が大半のスープは秋冬に売れる一方、夏場の販促策が課題だった。同社では牛乳でつくるスープを2016年に発売。17年は消費者の認知度も高まり、暑さと相まって「売り上げが伸びている」(同社)。気温が上昇すると野菜サラダの販売も伸びるが、キユーピーはさらにマヨネーズやドレッシング類の販売上乗せを狙う。

 アサヒグループ食品(東京都渋谷区)は湯を注ぐだけで簡単にできる、フリーズドライ食品の「チキンカツカレー」を提案。厚みがあるチキンカツを湯で復元する技術を、アマノフーズブランドで長年、培ってきた技術で実現した。調理に必要な時間は約1分。たまねぎやジャガイモを炒めたり、カレールーを長時間、煮込んだりする必要がない。

【ファシリテーターのコメント】
 暑さを追い風に販売を拡大を狙う食品業界だが、反動減には注意が必要だ。実際、ここ2、3年でも7月が猛暑なのに8月は一転、冷夏や長雨になったケースがある。そうなれば大量に発生した在庫と返品の山で頭を抱えることになる。
 サントリー食品インターナショナルではこうした事態も考慮し、「月単位の生産計画はあえて立てていない。数日間や1週間単位できめ細かく見直すようにしている」と話す。アサヒビールは気象予報などのビッグデータ(大量データ)や人工知能(AI)を活用し、酒類の販売予測の高精度化に取り組む方針。気象データに他社の新商品情報、地域ごとの消費特性などを加味し、商品の作りすぎや不足を減らす考え。
 東日本は暑いのに西日本は冷夏だったり、九州や東北地区では豪雨に見舞われたりと、地域によって全く別の気象となるケースが珍しくなく、きめ細かな対応がますます重要になっている。
(日刊工業新聞第二産業部・嶋田歩)
日刊工業新聞 記者