北朝鮮が拉致を認めた日朝首脳会談から15年になる17日、被害者の家族が東京で大規模な集会を開き、北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させる姿勢を示す中、拉致問題が埋没していくことに危機感を訴えるとともに、被害者の早期帰国に結びつく政府の取り組みを求めました。

集会でははじめに拉致被害者の家族会代表で、田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さん(79)が、「この15年間に他界された家族がいるほか、ほかの家族も体力が落ちて活動がおぼつかなくなっています。今核・ミサイルの問題に注目が集まり、拉致問題が置き去りになっているように感じます。政府は核の問題とは切り離し、年内の被害者の帰国に向け対応を怠らないでほしい」と訴えました。

また、体調を考慮して出席を見送った横田めぐみさんの両親のビデオメッセージが流され、この中で母親の早紀江さん(81)は「年を取って体調が芳しくなくなってしまいました。今が大事な時だと思っていますので、全員が無事帰国し、皆様にお礼が言える日が来るよう支援をお願いします」と呼びかけました。
父親の滋さん(84)は「めぐみちゃんと早く会いたいです」と声を振り絞りました。

家族が主催して東京で開いてきた大規模な集会に、救出運動のシンボルとされる横田夫妻がそろって欠席するのは初めてで、解決に長い時間がかかっていることを改めて示すものとなりました。

集会では最後にすべての拉致被害者の早期帰国を北朝鮮に要求するとともに、政府に対し、被害者の帰国を最優先に交渉を進めるよう求める大会決議を採択しました。
【政府の戦略が問われる局面に】被害者の家族は今、解決まで残された時間が多くないという切実な事情を抱えています。

特に高齢となった被害者の親の世代は、いずれも体調がすぐれず、今回、横田めぐみさんの両親がそろって出席を見送ったことは、その現実を強く印象づける出来事となりました。
家族は1年前、北朝鮮の5回目の核実験のあと、政府に対し、核の問題とは切り離して肉親の早期帰国に最優先で取り組んでほしいと申し入れました。

また、ことし2月には方針を転換し、北朝鮮への追加制裁を求めず、被害者を帰国させるなら制裁の解除や北朝鮮で見聞きした秘密を話さないといった見返りを示すことも可能だと踏み込みました。

高齢化が進む一方で、核の問題で緊張が高まり、拉致問題が置き去りにされかねないという危機感からでしたが、北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させる姿勢を示す中、展望は開けないままです。

核・ミサイルと拉致の問題をどう位置づけ、解決につなげていくのか。家族の高齢化が進む中、拉致問題は政府の戦略が問われる局面に入っています。