ことしのノーベル化学賞の受賞が決まった吉野彰さんが会見で「科学に興味を持つきっかけとなった」と紹介した本が増刷されることになり、出版社では相次ぐ注文などへの対応に追われています。

ことしのノーベル化学賞の受賞が決まった、大手化学メーカー「旭化成」の名誉フェローの吉野彰さんは、9日夜の会見で、小学生の頃に「ロウソクの科学」という本を読んだことが科学に興味を持つきっかけになったと述べました。

この本はイギリスの科学者ファラデーが1861年に行った講演を基にまとめられ、一本のろうそくを使った24の実験から身近に起きるさまざまな現象を科学的に解説しています。

「燃えたロウソクはどこにいったのか?」というテーマで物質の気化について説明するなど、日常の疑問から科学のおもしろさを伝える内容です。

この本の日本語版を出版している「KADOKAWA」と「岩波書店」はいずれも増刷を決め、このうちKADOKAWAは文庫版を2万部増刷するほか、易しく読み解いた関連本も増刷する予定だということです。

KADOKAWAによりますとこの本は、平成28年に大隅良典さんがノーベル医学・生理学賞を受賞した時にも反響がありましたが、今回のほうが問い合わせが多いということで、9日夜から相次いでいる新たな注文への対応に追われていました。

郡司珠子海外書籍編集長は「科学に対する『センス・オブ・ワンダー』を感じることができ、誰が読んでも驚きがある本だと思います。子どもたちにこの本に触れてもらい、科学に興味を持つきっかけになればと思います」と話していました。
【すでに売り切れた書店も】大阪市内の書店では朝から次々とこの本を買いたいと子どもから大人まで幅広い年代の人たちから注文や問い合わせが入り、5冊あった在庫はすぐに売り切れたということです。

今月下旬には再入荷の予定だということで書店では入荷しだい、特設コーナーを設けることにしているということです。

書店で自然科学分野の本を担当する井上涼さんは、「自分も読みましたが子どものように夢中になりました。子どもが読んでも専門家が読んでも感嘆にあふれる本だと思います」と話していました。