私たちの生活には欠かせない電車。
普段、当たり前のように利用していますが、その背後にはどの様な技術があるのでしょうか。日常的な移動手段として、電車が私たちの生活に果たす役割は非常に大きく、その裏には鉄道技術の進歩が隠れています。電車は、私たちの安全で効率的な移動を支え、同時に環境にも配慮し、地域社会の発展に貢献しています。
この度、8回目を迎えた、鉄道の最新の製品・技術を詰め込んだ『鉄道技術展』が、2023年11月8日から3日間、幕張メッセで開催され、そのイベントに参加してきました。この展示会は、鉄道業界の最新技術とイノベーションを紹介し、鉄道分野のさまざまな技術やサービスが横断的に会する総合見本市として、2010年から開催されています。鉄道技術のジャンルは、私たちが想像するよりもはるかに多岐の分野にわたり、その製品や技術は鉄道運行だけに留まらず、地域の活性化や街づくりにも寄与されており、一例としては、鉄道・交通システム、インフラ技術、施設、電力、輸送、運行管理、車両、インテリア、旅客サービスなど、非常に多様。さまざまな分野から最新技術が出展され、熱心な商談や情報交換が行われていました。
鉄道業界の『今』、『一歩先』、『未来』を詰め込んだ鉄道技術展! 今回はそのレポートを紹介します。

会場である幕張メッセがある最寄り駅、海浜幕張駅に到着。会場に向かう道も人、人、人!大変な盛り上がりが期待されます。

本日は鉄道技術展2023の他に、橋梁・トンネル技術展も、同時に開催されています。

会場に到着。皆さん熱心に出展企業のブースをチェックしていました。

会場は、鉄道業界の未来を担う人々で賑わっており、とても活気にあふれていました。足を踏み入れると、まるで未来の鉄道業界が一堂に会する場所のような熱気が漂っており、訪れた人々は最新の技術や製品情報を熱心に収集している姿が印象的でした。さらに、外国人の来場者も多く、国際的な雰囲気が広がっていました。

本日は、部材の軽量化、長寿命化、高効率化などに取り組む、株式会社プロテリアル様から、取材のご協力を頂けましたのでご紹介します。

株式会社プロテリアル(以下プロテリアル社)は、もともとは日立金属という社名でしたが、2023年にプロテリアルへと社名変更いたしました。
新社名は、企業理念を構成するMission、Vision、Values、の各エッセンスを反映しており、“PRO”+“MATERIAL”から作られています。
金属を中心とする高機能材料メーカーであり、自動車、産業インフラ、エレクトロニクスという事業領域において、持続可能な社会を支える高機能材料を製造し、世の中に提供しています。例えば、私たちが日常的に乗っている自動車の足回りやモーター、インバーター周りなどにもプロテリアル社の技術が活かされていると聞き、一気に親近感が湧いてきた筆者(笑)
早速、今回の鉄道技術展2023での出展物をいくつかご紹介いただきました。

高靭性ダクタイル鋳鉄HNM®

まず、ご紹介いただいたのはこちら、高靭性ダクタイル鋳鉄HNM®という製品。こちらは、鉄道の車輪の台車部分に使われている金属部品で、従来品に比べてかなり軽量化されていました。実際に持ってみましたが、重さが全然違います!単純に軽量化するために金属を薄くしてしまうと強度が弱くなりますが、割れにくい金属を混ぜ、そして設計を工夫することにより、強度を保ちつつ軽量化しているとのことです。普段毎日のように乗っている電車の見えないところにもプロテリアル社の技術が活かされていると聞きオドロキです。

モーター用磁性楔

前方に並んでいる鉄の棒のような製品が「モーター用磁性楔」という製品。こちらはモーターの中で使用され、モーターの効率を向上させる製品です。鉄道用のモーターは中の温度が約200℃まで上昇するようで、一般的な樹脂入り製品では使用に向かないそうですが、プロテリアル社の製品であれば熱に強い金属製であることから、問題なく使用ができるとのお話でした。モーターの効率が上がることにより、消費電力が下がり、それがCO2削減にも繋がる非常に重要な製品ですね。今回は鉄道の話ですが、モーターを使用するほぼ全ての製品でも同じ効果が期待できるとの説明も頂きました。

防鼠対応型フラット光ケーブル

こちらは防鼠対応のケーブルです。あまり聞きなれない言葉ですが、防鼠は「ぼうそ」と読み、ねずみ被害を防ぐという意味です。お話によると、鉄道業界共通の悩みの一つに、ねずみの被害が多いのだとか。最近は、駅中の飲食店が増えたことや、駅の構造上、地面に近い位置に配線設備を置かざるを得ないため、ねずみが配線をかじってしまったことに起因して、電車が止まってしまう事故も発生しています。そこで、鉄道事業者と共同で防鼠対応のケーブルを開発されたとのお話でした。ケーブル一つとっても、そんな技術が使われていたんですね…

摩耗限度溝入りトロリ線

こちらは摩耗限度溝入りトロリ線。またまた聞きなれない言葉ですが、トロリ線とは電車に電気を供給するための、線路の上にある架線で、パンタグラフに接する線のことです。電車はこちらから電気を供給してもらい走っているんですね。

プロテリアル社のトロリ線の特徴は、摩耗限度が分かるこの小さな溝。こちらは自動車のタイヤのスリップサインと同じ役割で、トロリ線の交換の目安がすぐにわかるようになっています。従来の製品では、メンテナンス時に手測定で摩耗状態を観測することが一般的でしたが、こちらの製品ではそれが一目瞭然なので、メンテナンスにかかる時間や人員を削減することが可能になります。この溝を入れるためには、対象物の「型」を製作する必要があり、その技術自体が、プロテリアル社が長年培ってきたものなんですね。説明を受けている間も他の鉄道関係者様たちが熱心にこちらの製品を見ている姿が印象的でした。うーん。鉄道業界は奥が深い…

ゆ〜まっと ®

最後は鉄道とは関係が薄い製品ですが、雪国で大活躍請け合いの「ゆ〜まっと®」という製品。雪国と言えば雪かき、大変ですよね… こちらのマットは、中に水を通すことにより、融雪できるのだとか。北海道などで使われているロードヒーティングは電気の力で雪を溶かしますが、こちらのマットは地下水を利用できるので経済的ですね。今後は商業施設や福祉施設の屋外歩行路などでの活躍が期待されます。

プロテリアル社の方々、お忙しい所、本当にありがとうございました。

取材協力を頂いた会社

株式会社プロテリアル(旧日立金属)
東京都江東区
1956年設立
URL:https://www.proterial.com/

引き続き会場の様子

場内だけでなく、軽食エリアも賑わっており、打ち合わせが行われている光景が目に入りました。

落ち着いて商談が出来るVIPラウンジも。

いかがでしたか?
鉄道技術展2023では鉄道技術の舞台裏に触れ、鉄道業界の未来を垣間見ることができました。
電車が私たちの生活において欠かせない存在である以上、鉄道技術の進化は私たちの安全で便利な移動に貢献し続けます。
これからも鉄道業界の発展に注目し、未来の鉄道技術がどのように私たちの生活を変えていくのかを期待ですね!