年間200万円しかなかった高知県須崎市のふるさと納税の寄附額を数年で21億円まで増やした守時健氏。彼が仕掛けた戦略は主にゆるキャラ&SNSを駆使したもの。その方法について書かれた『日本一バズらせる公務員』も話題を集めているが、SNSの中でもツイッターが重要と話す。その特産品をバズらせるツイッター戦略について話を聞いた。

◆特産品をバズらせる140文字の作り方

  私、こう見えて2年前までフツーの公務員をしていました守時健と申します。

 人口2万人くらいの高知県須崎市に「田舎暮らし楽しそう」くらいの軽い気持ちで就職し、「マジで何もない町だな」とすぐ気づき、「何かしないとヤバいぞ」と危機を募らせ、当時ブームだったゆるキャラ「しんじょう君」を誕生させてみたところ『ゆるキャラグランプリ2016』を獲得。

 さらに、須崎市のふるさと納税寄附額も200万円しかなかったのを数年で1000倍の約21億円にまでできました。そんな実績と茶髪でロン毛という公務員らしからぬ風貌から“超公務員”と呼ばれていたわけです。

「地元の魅力を情報発信したい」と願う地方自治体の方がたくさんいるなか、なぜ私は結果を出せたのか。その一因として、私はツイッターでの140文字を作るのが得意だったんですよね。

 しんじょう君はフォロワーが12万人超、なぜかただの一般人の私ですらフォロワーが1万人いまして、それを存分に使わせてもらっています。今回は、そんな「バズる140文字」の私なりの法則を紹介したいと思います。

◆“共感”を呼ぶ投稿で4億円を売り上げた

 2年前、公務員を退職して地域商社を起業したと同時に、コロナ禍に突入しました。途方に暮れていたところ、須崎市の地元漁師さんたちから相談を受けたんです。

「養殖していた魚がコロナで販路を失い、カンパチを20万匹、ブリを28万匹廃棄することになる」

 そこで、既存のECサイトを特産品ECサイト『高知かわうそ市場』に作り替え、ツイッターで情報発信して販路を何とか確保しようとなったんです。ここで「超特価! 脂ののった高級魚を販売」とつぶやいてもバズる可能性は低い。もうひと工夫! 最終的につぶやいたのは、以下のとおり。

「コロナの影響で高知県の養殖のブリが28万匹余っています。一年半愛情込めて育てた一級品ブリを、廃棄せず少しでも皆様の食卓に届けたいです。(省略)応援よろしくお願いします。#フードロス削減」

 ブリのツイートは7.9万リツート、14.6万「いいね」がつき、その日の国内リツイートランキングで1位に。インプレッションは1400万でダルビッシュさんほか各界の著名な方も拡散してくださり、おかげさまで3日で約4億円も売ることができました。

◆バズる理由と基準

 では、なぜバズったのか?

 理由は「共感」です。投稿内容に「廃棄」「応援」というキーワードを入れることで、SDGsやフードロス、コロナ禍での助け合い……といった社会問題に敏感になっている消費者の共感を得て「もったいない×安い」を表現できたからなんです。

 バズる投稿というのは、実は、書き方の工夫と緻密な計算の上に成り立っています。ちなみに“バズった”の基準は「投稿から3日以内で1万以上のリツイート&いいねがある」こと。これくらい反応があるとニュースサイトで取り上げられ、そこからの2次拡散も期待できるようになります。

 続いての法則は「人を傷つけずに議論を呼ぶ」というもの。

「今出張で中国なんですけど、めちゃくちゃ綺麗なホテルで皆様ロビーでタバコ吸ってるのでびっくりして『ここはタバコ吸ってもいいんですか?』と受付に聞いたら『あれはスタッフです。お客様は禁煙です!』との事でした」

◆バズった4つの属性

 バズった理由は、この投稿だけで4つの属性に訴えたからです。

①中国があまり好きじゃない派
②こういう感じ大好き派
③タバコが好きな人
④タバコが嫌いな人

 放っておいても議論が進み、1万以上の「いいね」に発展したわけです。ただ、ここで注意しないといけないのが、誰かを傷つけたり怒らせたりするもの。それはバズりでなく、炎上です。

「〇〇な人ってキモいですよね。ま、私のことなんですけど」みたいに、最後は自分でオチをつけるよう心がけています。

◆バズったツイートを分析して繰り返す

 とにかくバズる文章は1回や2回では、うまく書くことはできません。スベったときはPDCAサイクルを回し、「どこが、なぜ面白くないのか」を言語化して再検討。スベっても死にはしませんので、心を強く持ってサイクルを速く回せるよう心がけます。

 そして、逆にバズっている文章は「なぜ面白いのか」も分析し、自分で再生産していきます。とにかく真似て書くことも大切です。そうして生まれたのが「ツイッター構文」というもの。割とよく使われるツイッター構文を活用してバズった投稿がこちら。

「(※一部省略)「その服めっちゃかっこいいじゃん、何処で売ってるの?」って見ず知らずの私のファッションを褒めてくださるこの方朝青龍さんだったのすごくないですか」

 意外な展開の最後にオチをもってくるやり方で「〜だったのすごくないですか」がツイッター構文です。ちなみに、このとき着ていたのはヨウジ・ヤマモトのセットアップでした。

◆ゆるキャラを作って地方創生

 ほかにも法則はありますが、一番大切なのは、これをゆるキャラがつぶやくこと。基本インフルエンサーが企業や自治体からお金をもらって情報発信する場合、「PR」の表記が必須です。でも、ご当地キャラならお金を払う必要もないし、それが仕事なのでPR表記を入れなくていい。しかもPRすると、めちゃ応援してくれます。それってかなり強くないですか?

 というわけで、世の中的には時々オワコン扱いされてますが、地方創生には絶対に欠かせない「ゆるキャラの作り方」について、次回は語りたいと思います。

◆守時流Twitterバズりの法則

①共感を生む投稿を考える

②人を傷つけずに議論を呼ぶ

③失敗を恐れずにPDCA

④ツイッター構文を駆使する

◆バズったつぶやきの主な事例

<Point①「共感」ワードを入れる>
単なる特産品の紹介では人は食いつかない。時流を読み「コロナ」「もったいない」「安い」「応援」など人が”共感”できる要素を入れる

<Point②ツイッター構文で遊びを>
丁寧な起承転結を作り、最後のオチに驚きの事実を描くのがポイント。さらに「〜だったのすごくないですか」のツイッター構文で面白さを倍増

<Point③議論が割れるテーマを投稿>
誰も傷づけずに議論を呼ぶような問題提起を投稿。「中国」「タバコ」などのキーワードとともに、面白エピソードを紹介し、1.2万「いいね」を獲得

構成/塩野芽衣子 写真協力/守時 健

【守時健】
(もりとき たけし) 地域創生請負人。高知県須崎市の市役所職員として新入職員ながら、ゆるキャラ「しんじょう君」を誕生させ、'16年にゆるキャラグランプリ王者に輝く。その後、須崎市のふるさと納税をSNS&ゆるキャラ戦略で1000倍に増やし、地域活性に貢献。現在は市役所を独立し、SNSマーケティングを使った特産品の情報発信を仕掛ける地域商社「パンクチュアル」代表を務める。著書『日本一バズる公務員』

―[地方創生マーケティング術]―