「年収600万円はないと結婚、ましてや子育てなんてできっこない!」そんな言説がネットニュースなどで散見されるが、本当だろうか?世の中には世帯年収400万円で幸せな家庭を築き、子育てをしている家族も少なくない。今回はファイナンシャルプランナーに子育て世帯への支援について解説してもらった。

◆少子化対策で子育て世帯への支援が充実

 文科省のデータによれば、子ども1人が大学卒業までにかかる学費は国公立で約1000万円。その数字で「年収400万円世帯に子育ては無理」と考えるのは早計だ。「近年は、少子化対策で子育て世帯への支援が格段に充実しています」と語るのはファイナンシャルプランナーの柳澤美由紀氏。そこで、年収400万円世帯が利用できるサポートを聞いてみた。

「まず、児童手当は中学生まで毎月1万〜1万5000円支給されます。高校の授業料も、世帯年収400万円台だと、国公立校の場合は実質無料。私立校も、年間39万6000円まで支給されます」

 そのほか、安価に使える子育てサポートも増えつつあるという。

「幼児を預かる預かり保育や放課後児童クラブ(学童保育)のほか、自治体によっては1時間1000円以下で利用できる送迎や短時間子どもを預かるファミリーサポートなど支援も拡充しています」

◆自治体のサポートも見逃せない

 共働きで所得が低いほど利用しやすいため、400万円台の共働き世帯ならばかなり有利だ。

「自治体のサポートも見逃せません。たとえば、江戸川区では子どもが1歳になったら子ども商品券を支給してくれます。金額は、第1子に1万円、第2子に2万円、第3子以降は3万円です。松戸市では幼児が同乗する自転車の購入費用の2分の1、上限5万円まで助成されます。ご自身の自治体でも、ぜひ調べてみてください」

◆貯蓄と教育費・教育貯金を死守し、それ以外を節約!

 ただ、「部活や習い事もやらせたいし、将来は大学に行かせたい」という場合はどうしたら?

「400万円世帯の場合、家計簿は下の表が理想のバランスで、教育費は6%分の年間24万円ほど確保したいところ。この金額は給食費や習い事、塾代に使い、貯蓄から月1万円を教育貯金に回せば、18歳の時点で216万円です。

 それとは別に、児童手当をすべて教育資金として貯めれば約200万円で合計400万円ほど。大学の学費は、国公立なら400万〜500万円、私立文系なら600万〜700万円ほどかかりますが、奨学金などを利用すれば大学進学も難しくありません」

●年収400万円世帯の理想の家計簿 
手取り…28万3000円
――――――――――――――
家賃…8万5000円
食費…6万5000円
水道光熱費・通信費…3万円
教育費…2万円(児童手当はすべて教育貯金に)
貯蓄…3万円
その他(小遣い、保険、レジャー、衣服など)…5万3000円

◆決して悲観する必要はない

 また、共働きで妻が家計の一部を担えば、さらに進学へのハードルは下がっていく。

「夫が年収400万円で妻が専業主婦の場合、手取りが320万円ほど。妻がパートに出て80万円稼げば、手取りで400万円に達します。ですから、子どもが小学生になれば妻にも余裕が出てくるはずなので、配偶者控除が受けられる年間103万円までなら働いたほうがいい。控除を離れて正社員で働くのであれば、月収17万円以上は欲しいところです」

 子育て初期は時間やお金がないと不安が募る。だが、人生のステージが変われば状況も変わる。決して悲観する必要はないのだ。

◆子育て世帯が利用できる制度

▼児童手当
中学卒業までの児童を養育している子育て世帯に、子ども1人につき給付。金額は3歳未満には1万5000円、3歳〜小学校卒業までは1万円(第3子以降は1万5000円)、中学校卒業までは1万円。高所得者は一律5000円で、将来的に支給廃止予定

▼育児休業給付金
子どもが1歳、最長2歳になるまでの育児休業中に受け取れる支援金。育児休業開始から6カ月間は休業前の賃金の67%を、6カ月経過後は賃金の50%を受け取れる。育児休業のおよそ2か月後から支給が開始

▼産後パパ休暇(出生時育休制度)
2022年10月1月から新たな育休制度として始まるのが、男性版産休とも呼ばれる「産後パパ休暇」。子どもの出生から8週間以内に4週間まで育児休業取得が可能に。希望すれば、2回に分割して取得できるのがポイント

▼パパ・ママ育休プラス
両親がともに育休を取得した場合、原則1歳までの休業可能期間を1歳2か月まで延長できる制度。パパの育休期間が6カ月以内であれば、育休取得前の給与の67%の育児休業給付金を受け取れる。一定の要件を満たせば、夫婦交代での取得も可能

▼病児保育
就学前の回復期にある病気の子どもの預かりを実施。自治体によって異なるが、東京都の場合は、利用料は一日2000円前後が多い。また、病児・病児保育のベビーシッター代の一部補助を行う自治体もある

▼ファミリーサポートセンター
それぞれの地域のセンターで、子育て支援してほしい人と、子育て支援したい人が会員となり、保育園までの送迎や、急用時や放課後などの子ども預かりをはじめ、育児を助け合う組織。金額は1時間800〜900円ほどが相場

▼高等学校等就学支援金制度
高校等に通う生徒に向けて、授業料の一部又は全額を支援する制度。年収目安約910万円未満世帯に対して、国公立の高校は年額11万8800円、私立の場合は年収約590万円未満世帯に対して、年額39万6000円が支給される

【ファイナンシャルプランナー・柳澤美由紀氏】
FPフローリスト取締役。CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。二種証券外務員。著書に『運用以前のお金の常識』(講談社)など多数

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[[世帯年収]400万円の幸福]―