大活躍はしないまでも、それなりに働いてきた“モブ社員”。しかし、今や日本社会はジリ貧。今後、可もなく不可もない普通の会社員は、ただ貧乏くじを引かされるだけの存在に――。少しでも思い当たるならば、振り返ってみてほしい。捨てられる前に。

◆日本の失墜とともに“捨てられる会社員”が大量に続出する!?

 よくも悪くも平々凡々。これまでであればリストラとは無縁であったはずが、今では肩たたき予備軍となった“モブ社員”たち。数年後には彼らが会社から追い出されてしまう日が来るかもしれない――。そう警鐘を鳴らすのは、経済評論家の加谷珪一氏だ。

「この30年間、日本企業はほぼ成長していません。一部の輸出企業の売り上げでかろうじて国内経済が潤う仕組みがありました。しかし、国際競争力の低下や現地生産の増加で、徐々に円安メリットも享受できなくなっています。

 そこに、コロナ禍とウクライナ危機が直撃し、円安傾向が一気に加速。輸出は伸びないのに、輸入コストが上がり生活費を圧迫する“悪い円安”に入ってしまいました。日本企業が窮地に立たされるとその煽りを食らうのは、間違いなく、会社で働く社員たちでしょう」

◆ジョブ型雇用を推進

 その証拠に、この数年、経団連はもはや年功序列型の今の雇用体系を守れないと、ジョブ型雇用を推進する方向に舵を切りつつある。

「先日も日立が週休3日制導入を表明しましたが、あれは“3日休んでいいから、賃金は上げませんよ”とのメッセージ。今後は、日本企業のスリム化が始まりますが、対象となるのは、若い頃に頑張って働いたトレードオフとして、仕事内容に対し賃金が割高に設定されているミドル層でしょうね」

◆普通の“モブ社員”に居場所なし!

 人手不足の時代ゆえ、いきなり追い出されることはない。だが、「企業の処遇次第では、モブ社員がゾンビ化する」と語るのが、ビジネスコンサルタントの大塚寿氏。

「漫然と仕事を続けている社員は、今の状況から梯子を外され、望まない仕事や割に合わない仕事を押しつけられて、会社にいいように消費される“ゾンビ社員”になる可能性が高い。回避するには戦略的に行動する必要があります」

 もはや標準的な能力しか持たないサラリーマンに安心はない。

◆会社からの“梯子外し”の兆候とは――

 企業のスリム化が進むなか、会社に捨てられる社員の特徴はどんなものか。前出の大塚氏に聞いた。

「まず、一番可能性があるのは、『指示待ちの人』や『自分の頭で考えられない人』、『正解がわからないときに、試行錯誤できない人』。今の時代は変化が速いので正解がわからなくても、行動して、自分の頭で考え、試行錯誤してみないと答えが見つかりませんから」

 だが、こうした自発的な行動が苦手な人でも、「リーダーシップがある人」は重宝される傾向にある。

「能力があって仕事はデキても、人徳のない方はたくさんいる。企業は個人ではなくチームで仕事に取り組むので、『この人がいると社員がなんとなくまとまる』というのも、立派なスキル。逆に言えば『リーダーシップのなさ』は排除対処になります」(大塚氏)

 処遇によって、会社の期待度を測ることができると語るのは、人材育成支援企業代表の前川孝雄氏。

「中高年になってから『支社や子会社、関連会社への出向や転籍』も、幹部ではなく課長以下の待遇だった場合は、戦力外通告の可能性も高いです。また、『専門外の部署への異動』『海外出向』なども、経営陣の考える主戦力からは外れたと考えておくべきでしょう」

◆『若手が気軽に声をかけられない先輩や上司』は危ない

 一方で、社内の人間とのコミット度合いも、重要な指針となる。

「会社の雰囲気を悪くする社員は、会社から“いらない社員”と認定されがち。例えば、『忙しそうな周りを気にせず定時で即帰宅』や『若手が気軽に声をかけられない先輩や上司』は問題ですね。また、『部下が上司になった』という場合の態度も重要です。かつての部下とうまくやれるなら救いがありますが、ふてくされ、後ろ向きになるなら居場所がなくなるリスクがあります」(前川氏)

 また、時代の変化に対応しない人も、お荷物認定は必至だ。

「『若い頃から担当している業務が変わらない』という人や、『人事考査が3期連続平均以下/降格』という人は、変化せず、進化してない証拠。あと、昨今はDXの導入も始まっていますが、導入を避け、『新しいことを学ぶ意欲がない』という人も問題。変化を起こさない人間は淘汰されます」(大塚氏)

◆最も危ないのが…

 そして、最も危ないのが「給与と仕事量が見合わない人」だ。

「転職サイトに登録し、自分の市場価値を調べてみましょう。現在よりも待遇の良い仕事を見つけられない場合、今の会社で分不相応な給与を得ている証拠。リストラ対象の候補です」(前川氏)

 いかがだろうか。自分に当てはまる項目がある人は、気づかぬうちに、会社からの“梯子外し”が始まっているかもしれない……。

◆捨てられる会社員10の特徴

▼給料と仕事量が見合っていない
定時退社に命を懸けてないか? 今より高待遇で転職できるか?

▼若い頃から担当業務が変わらない
賞味期限切れの業務を担当し続けていないか?

▼課長以下での役職の出向
幹部としてではない形で出向をしていないか?

▼若手から頼られない/関わるのは同年代とだけ
「少しいいですか?」などと声をかけられることはあるか?

▼リーダーシップを取れない
いつまでも、まとめられる側で落ち着いてしまっていないか?

▼指示がないと動けない
自分で試行錯誤しようとせず、他人頼みにしていないか?

▼かつての部下が上司
ふてくされて、後ろ向きな態度をとっていないか?

▼新しい技術を学び直すことに消極的
DXや担当業務の最新技術についていこうとしているか?

▼人事考査が3期連続、平均以下/降格
会社から何が求められているか、きちんと把握しているか?

▼門外漢の部署への異動/異動が頻繁
急に専門外の部署へ異動をさせられたりしていないか?

【経済評論家 加谷珪一氏】
日経BP記者や投資ファンド運用会社を経て、独立。近著に『国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の原因』(幻冬舎)、『脱日本入門 』(文春e-books)など

【ビジネスコンサルタント 大塚 寿氏】
リクルート勤務などを経て、オーダーメイド型企業研修を展開するエマメイコーポレーションを設立。近著に『できる人は、「これ」しか言わない』(PHP研究所)

【人材育成支援企業代表 前川孝雄氏】
FeelWorks代表。400社以上で「上司力Ⓡ研修」を開講。青山学院大学兼任講師。著書に『50歳からの人生が変わる 痛快!「学び」戦略』(PHP研究所)など

<取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/Kucci>
※週刊SPA!4月26日発売号の特集「捨てられる会社員の特徴」より

―[捨てられる会社員の特徴]―