◆テレビマンたちがおススメする、今からでも見るべき“春ドラマ”

 前クールの冬ドラマは、大ヒットマンガを原作にした『ミステリと言う勿れ』(フジ系)や固定ファンの多い日曜劇場枠の『DCU』(TBS系)、ネット上での考察が盛り上がった『真犯人フラグ』(日テレ系)が高視聴率をマークしたが、その他のドラマは視聴率や話題性の面で伸び悩む形で終了。

 そんななか、例年各局が力を入れている4月クールの春ドラマが放送開始。綾瀬はるかと大泉洋が出演する月9ドラマ『元彼の遺言状』(フジ系、月曜午後9時〜)、山下智久が主演を務める『正直不動産』(NHK、火曜午後10時〜)、木村拓哉が約2年ぶりにドラマ主演に挑む『未来への10カウント』(テレビ朝日系、木曜午後9時〜)、二宮和也と多部未華子が夫婦役を演じる『マイファミリー』(TBS系、日曜午後9時〜)といった豪華な俳優陣を起用したドラマがズラリと並び、久しぶりに話題を集めている。

 そんな春ドラマを業界関係者たちはどう見ているのか? 序盤の放送を終えた時点で彼らが注目している「今からでも見るべき作品」を聞いてみた。

◆二宮和也と多部未華子の演技力で見せる『マイファミリー』

 まずは、キー局で深夜ドラマなどを手掛けてきた40代プロデューサー・A氏に話を聞いた。

「注目して見ているのは、ベタになるかもしれませんが『マイファミリー』(TBS系、日曜午後9時〜)ですね。初回の世帯平均視聴率は12.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)、第2話も12.8%をマークし、現状も10%前後をキープ。高視聴率の原動力は主演の二宮和也さんと多部未華子さんの迫真の演技にあるでしょうね。

 小学生の娘を誘拐された夫婦が誘拐犯に立ち向かう姿を描くというストーリーですが、当初は2人が子供を持つ夫婦を演じられるのかという不安もありました。しかし、誘拐された娘の声を聞いて2人が感情を吐露するシーンは圧巻でしたね」

 第1話時点でネット上では“また考察モノか”という声も集まった同作だが、ストーリー面でも高く評価しているようだ。

「脚本を手掛けているのは、同じ日曜劇場の『グランメゾン東京』『TOKYO MER 〜走る救急救命室〜』を書いた黒岩勉さん。彼は単なるサスペンスだけでなく、しっかりと人間ドラマを描いていける作家なので“家族の絆”にフォーカスしていけばますます面白くなってくるのでは?」

 実力派俳優と感情を揺さぶる脚本の化学反応で、今後はさらに視聴率を上げていく可能性が高いと太鼓判を押した。

◆アクションとカメラワークが光る『ナンバMG5』

 また、前出のプロデューサーA氏が「これからも見たい」と注目する作品をもう一つ挙げてくれた。

「期待以上だったのは、人気の“ヤンキー”をテーマにした『ナンバMG5』(フジ系、水曜午後10時〜)ですね。コミカルなテイストのヤンキードラマですが、『踊る大捜査線』シリーズなどで知られる本広克行さんの演出がお見事。カメラワークやアクションシーンのこだわりに感心しました。フジテレビドラマの新しい枠ということで、制作陣の気合いが伝わる良作だと思う」

 視聴率では苦戦をやや強いられている同作だが、プロデューサーは「SNSなどで火がつけば……」と期待を寄せている。

◆山Pが正直者の営業マンになる『正直不動産』

 続いて、ドラマ制作会社に勤務する若手女性プロデューサーB氏は、こんな作品をおススメ作に挙げた。

「山下智久さん主演の『正直不動産』(NHK、火曜22時〜)が面白いですね。山下さん演じる不動産の営業マン・永瀬が祟りによってウソを付けない“正直者”になってしまうというストーリー。ファンタジー要素満載ですが、仕事の厳しさや楽しさを丁寧に描いて、最後はハートフルな展開になるドラマになっており、見応え十分。

 山下さんの新鮮な役どころもよいですが、『ハコヅメ 〜たたかう!交番女子〜』(日テレ系)を手掛けた根本ノンジさんの脚本のうまさに尽きるドラマですね」

 ファンタジーな設定だけで留まらない奥が深い新感覚の仕事ドラマとして、中盤以降はもっと評価を集めてもよさそうだが……。

◆お仕事モノとして良質! 探偵学校が舞台の『クロステイル〜探偵教室〜』 

 B氏は、深夜ドラマからも知る人ぞ知る注目作をピックアップしてくれた。

「若手の注目俳優・鈴鹿央士さんが主演を務める『クロステイル〜探偵教室〜』(フジ系、土曜午後11時40分〜)を楽しく見ています。王道の探偵モノかと思いきや、舞台が“探偵学校”で尾行や盗聴、聞き込みといった探偵業のノウハウを悪戦苦闘しながら学んでいく“お仕事ドラマ”になっているところが斬新。それぞれのキャラクターも際立っていてストーリーのテンポもよいので、疲れた深夜帯に見ても、飽きのこない一作ですよ」

 有名俳優こそ出演していないものの、1話ごとに評価を上げている良作エンタメドラマだ。

◆政治を絡めたSFファンタジー『17歳の帝国』に期待!

 また、深夜ドラマやアニメを中心に活躍する脚本家C氏は、こんな作品を挙げた。

「先日スタートしたばかりの『17歳の帝国』(NHK、土曜午後10時〜)に期待をしていますね。アニメ『けいおん!』『ガールズ&パンツァー』といったアニメ脚本を多く手がけてきた吉田玲子さんが実写ドラマを手掛けるということで注目していたのですが、まさか政治色の強いSFファンタジーになるとは驚きでした。

 近未来の日本に設立された実験都市「ウーア」を舞台に、AIによって選ばれた17歳の若きリーダー・真木が葛藤しながらも“理想の社会”を作っていくという難しそうな物語ですが、2話以降で、吉田さんが得意とする“青春”の要素がうまく織り交ざっていくと幅広い層に見てもらえそうですね。とにかく、実験的な作品なのでラストまで目が離せないかな。柄本明さんや星野源さん、染谷将太さんといった演技派の人気俳優が登場するのも豪華!」

 近年、最も攻めたドラマを作ると言われているのがNHKの夜帯ドラマだけに、2話以降で大きな反響を呼んでいきそうだ。

 話題作が並ぶ各局の春ドラマ——。果たして中盤以降で“大化け”するドラマ、後世に残る名作は出てくるのか? 業界関係者のコメントを参考にしつつ、今からでもチェックしてみる価値はありそうだ。

<取材・文/木田トウセイ>

【木田トウセイ】
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。