◆劣等感は克服できるものではない

 コンプレックスをずっと引きずった挙げ句、自己評価が下がってしまい、憂鬱になったり、卑屈になったり、以下のように前に進めない人は多い。

●どうせ低学歴だから、自分に期待ができない
●どのみち低収入だから、幸せになれない
●しょせん低身長だから、自信が持てない
●とにかくコミュ障だから、人と話すのが怖い
●結局兄みたいに運動神経が良くないから、運動が嫌い

 なかなか克服できないコンプレックスが原因で、承認欲求に振り回されたり、他人を攻撃してストレスを発散してしまったりする人も多いだろう。

 しかしコンプレックスというのは、そもそも「ない物ねだり」であるので、基本的には克服できない。身体的・精神的制限や生い立ち、差別経験などはそもそも克服が不可能に近いし、学歴や収入なども簡単には変えられない。

 もし克服が簡単であれば、コンプレックスはとっくになくなっているはず。長くこじらせている人だけが後から気づくものがコンプレックスなのだ。

 だからコンプレックスは克服する代わりに、武器に変えて利用するのが得策であろう。

劣等感の解消法1:強みとして捉えて、良い面を利用する
劣等感の解消法2:弱みとして受け入れて、別の強みへの足掛かりにする

 本稿では、テレビ朝日「激レアさんを連れてきた。」(5月9日放送)に出演した「9浪早稲田合格男」こと「9浪はまい」と「16歳東大合格男」ことカリスが、劣等感を武器に変える方法について、お互いの経験を踏まえつつ対話していく。

◆9年もかけたことに、まったく悔いはない

 実は僕も「激レアさんを連れてきた。」に去年出演した(2021年8月16日)。「激レアさん」とは、人とは違う道を歩んで苦しみ悶えながらも、まさに劣等感を武器に変えられた人なんだと思う。

カリス:テレビデビュー、おめでとうございます! すごい反応でしたね。「徒労に終わらなくてよかった10浪だけに」とか、YouTubeだけでなく地上波でもオヤジギャグをバッチリ決めていて、大好きでした!

はまい:ありがとうございます! 収録中はすごく緊張しましたが、いつもの自分らしさをアピールできるように頑張りました(笑)。

カリス:9浪してまで早稲田大学合格を目指した時点で、まさに今回のテーマにぴったりの、日本が誇る「コンプレックスの塊」なんじゃないかと思います。本日はどんどん意見を言ってください!

はまい:よろしくお願いします! 今は違いますが、確かに早稲田に合格するまでは散々学歴コンプレックスを引きずってましたね……。一般受験で早稲田に合格することで、僕は学歴コンプレックスを克服できましたが、めちゃくちゃ大変な道のりでした。

 特に最後の年は、手が震えたり、表情すら動かなかったり、ボロボロな状態でした。でも、早稲田合格さえできれば「すべてを捨ててもいい」「すべてを賭ける価値がある」と覚悟していたので、9年も賭けたことにまったく悔いはないです。

カリス:断腸の思いで受験勉強を続けていたんですね……。でも9浪の末に合格を勝ち取ったはまいさんはとってもカッコ良いですし、尊敬に値すると思います! 9浪を人に薦められるかといえば、誰にも薦められないですが、「自身にとってどうしても重要なこと」の1つ2つに限っては、コンプレックスの克服を目指す道もありだとは思います。

 たとえば、僕も日本語ができない自分に劣等感を抱いて、人と話すのをずっと避けてた時期がありましたが、本をたくさん読んで、短期間で要領良く言語力を高めることで克服しました。

◆劣等感の解消法1「強みとして捉えて、良い面を利用する」

はまい:そうですね。コンプレックスを克服するのはやっぱり大変なので、僕も基本的には克服するのではなく、利用した方がいいと思っています。一度武器に変えてしまえば、気にならなくなりますし。コンプレックスは立体的なものなので、正面から見ると弱みに見えてきてクヨクヨしがちですが、別の側面から見ると強みに変わったりもしますね。

カリス:具体的に、コンプレックスの“良い面”を利用した経験ってあったりしますか? たとえば、低身長は「親しみやすい人」、コミュ障は「慎重な人」と捉えることもできると思います。9浪だって「社会進出が遅れた人」ではなくて、「面白い人」「激レアさん」として捉えることもできますし(笑)。出る杭は打たれますが、出過ぎればキャラ設定になるというか。

はまい:褒めてくれてありがとうございます(笑)。たとえば、幼少期は自分の顔にコンプレックスを感じていましたが、今となっては逆に強みとして捉えるようになりました。自分を含めて従兄弟は8人いますが、おばさんから「はまいの顔は8人中、下から2番目」と言われたことがあって、ずっとショックを受けていました。でも、今は親しみやすい「等身大の顔」ということで、自分の顔に愛着を持てるようになりましたね。

カリス:確かに言われてみれば、はまいさんはメガネも相まって、のび太みたいな顔ですもんね! 全然緊張せずに自然体で話せますし、僕は安心感があって好きです!

 僕は早口が原因で、よく聞き返されたり、冷たく見られたりするのがコンプレックスでした。でも、早口のほうが「優秀かつ自信家」に見えて、説得力が上がって得すると実感してからは、いつも堂々と早口でしゃべっています。あと、同じく早口の人とはすぐ仲良くなれるわけですし。

◆劣等感の解消法2「弱みとして受け入れて、別の強みへの足掛かりにする」

カリス:あと、コンプレックスって、それ自体が強みにはならなくても、それをきっかけに自己分析すれば別の強みを気づかせてくれることもあるので、僕はとっても良いものだと思うんですね。たとえば僕は遅刻しがちですし、単純作業もとても苦手ですが、だからこそ「クリエイティブな仕事になら集中できる」という強みを発見できました。

はまい:すごく分かります! 僕自身も単純作業は超苦手ですし。弱みは「できない」と割り切ることも大切ですね。実際に僕は、理数系を弱みとして受け入れて「言語力や暗記力が問われる別の教科に集中する」ことで、9浪目にして早稲田に合格できました。理数系の勉強をずっと頑張ったところで、過去問を60周して7点が40点に上がっただけなので、やっぱり僕には向いてなかったんだと思います。それを受け入れることで、僕は前に進めましたし、進化できました!

カリス:コンプレックスって、万人受けを目指して、無理して克服する必要なんてないですからねー。褒められた人生なんて、目指さなくていい。人生は「自己満」なんだから、自分のペースで、できることに集中して生きていけばいい。

 そうしていくうちに、何かしらに成功したり、人に認められたり、趣味を楽しんだりして、コンプレックスに囚われなくなります。僕は父親と呼べるような人がいないのがコンプレックスでしたが、色々な成功体験を重ねることで、そんなのはどうでもよくなりました。

はまい:「自分は自分でしかないので、他の誰かになろうとしない」ってことですよね! コンプレックスで悩んでる人にとって、ものすごく励みになる言葉だと思います。そういえば最近、コンプレックスでクヨクヨしてた僕の浪人時代を振り返って、反面教師になるような本を出版しました!

カリス:受験に失敗する100パターンとその回避法が載った『浪人回避大全』ですよね? 僕がこんな推薦文を書きました(笑)。「9浪の彼も−(マイナス)2浪の僕も、受験成功の秘訣は同じだ」。

 最後に、僕たち2人からの言葉をあなたに贈ろう。

「自分の弱さを認める勇気が、明日の自分を変える」(9浪はまい)

「人生は自己満。なのに他己満だと思うからみんな苦しむ」 (カリス)

https://youtu.be/9Rmxy_Q2MpI

文・写真/東大AI博士・カリス

【東大AI博士・カリス】
1993年、韓国生まれ。16歳で東京大学に合格。日本政府から天才認定(学生としては初めて、研究業績だけで永住権を取得)を受ける。博士(情報理工学/東京大学)。英・ケンブリッジ大学/独・ミュンヘン工科大学/伊・ミラノビコッカ大学で訪問研究。⽇本トップレベルの医療AI研究者であり、「みんな健康かつ笑顔で暮らせる社会」を実現すべく起業準備中。YouTubeチャンネル『カリス 東大AI博士』にて、科学的勉強法・科学的思考法・AIなどについて配信中